《MUMEI》
6
切川琢磨が戻ってきた。後ろには、白衣を着た長髪の男。やや白いものが混じる髪が逆立っている。おそらく所長の田辺幹一だろう。瑠璃子は緊張の面持ちで二人を見つめた。

「刑事さんか」

田辺が危ない笑顔。目が何かおかしい。瑠璃子は身じろぎした。女は全裸で手足を縛られたら弱い。何をされても完全に無抵抗だし、大切な体を男たちの目の前に投げ出しているというのは怖い。

(目がイッてる)

「瑠璃子刑事。自己紹介しよう。僕の名前は田辺幹一だ」

「あ、はじめまして、三上瑠璃子です」

「許してほしいかい?」田辺がいやらしく瑠璃子のおなかをさわる。

「許してください」

「ただで許すわけにはいかない。実験台になってくれたら許してあげよう」

実験台と聞いて瑠璃子はもがいた。

「それだけはやめてください、一生のお願いです」

「ハハハ。まだどんな実験か言ってないじゃないか」田辺が迫る。「大丈夫。そんな残酷な実験じゃないから」

田辺が目配せすると、助手が瓶を持ってきた。田辺は瓶を手にすると、ゆっくり蓋を開け、瑠璃子を見た。

「これは媚薬だ」

「嘘・・・」瑠璃子は目を見開く。

「今までも実験を繰り返してきたが、100%の確率で皆昇天してしまう。平均で30秒だ」

30秒。あり得ない。瑠璃子は激しくもがいた。

「待って、待って、安全性はどうなの?」

すると、切川が口を挟む。

「君さあ。自分の立場わかってる?」

「わかってます」

「わかってないよ、全然」切川が無表情で瑠璃子を見下ろす。「本来なら電気拷問とか腹パンチ連打とかで痛い目に遭わされたり、容赦なく犯されるところを、気持ちいい目に遭わされるだけで許してもらえるんだよ」

好きでもない男どもに気持ちいい目に遭わされることが、どれだけ屈辱的なことなのか、この男たちには一生わからないのだろう。しかし瑠璃子は反論せずに唇を噛んだ。逆らって、もしも痛い目に遭わされたら、やはりそのほうがきつい。

瑠璃子が横を向くと、観念したと思い、田辺は瓶を傾けた。媚薬が瑠璃子の股に垂らされる。

「んんんんん」

強烈に快感が来る。とんでもない媚薬だ。実験中ということは安全性など考慮に入れていないのだろう。

「んんん・・・あ、嘘、待って・・・ああああああああああん!」

今までに経験したことのない気持ち良さが下半身を直撃し、瑠璃子は仰け反って悶えた。

「あああああん! あああああん! わかったやめて、あああああん! 降参、降参、お願いやめて!」

「ハハハハハ、いいぞいいぞ、気持ちいいだろう?」

「あああああん! あああああん! いやあああああん!」

瑠璃子はのた打ち回るように暴れた。気持ち良過ぎる。とても耐えられない。大きな口をあけて悶えまくる。

「あああああん! き・・・気持ちい・・・気持ちいい!」

「落ちたな」

瑠璃子は考える間もなく、頭の中が真っ白になり、理性は吹っ飛び、悩ましい泣き顔で腰をくねらせて落ちた。

「はあああああ・・・あああああ・・・ああああああああああん! あっ・・・・・・あああ、はああ・・・」

イカされてしまった。

まだ媚薬が効いている。これはたまらない。快感が止まらない。瑠璃子はまた仰け反って暴れた。

「いやあああああ! 助けて、助けて!」

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