《MUMEI》
7
田辺は悪魔の笑顔。

「おまえたち。媚薬を拭き取ってあげなさい。媚薬が残っていると、いつまでも気持ちいいから、よがり狂ってしまう。それはかわいそうだ」

「はっ」

助手の男たちが三人、タオルを持って瑠璃子を囲む。まさか何をする気か。そう思っている暇もなく、男たちは瑠璃子の股をタオルで拭く。

「あああああ! やめて!」

やめない。媚薬を拭き取る。瑠璃子は激しくもがいた。

「バカバカバカ、やめて、手足ほどいて! シャワーを浴びさせて、お願い!」

だが聞く耳を持たない。媚薬で感度が良くなっているのに、タオルで股をゴシゴシされ、瑠璃子は気を失いそうになった。

「あああああん! やめて、やめて、お願いやめて・・・あああああ! あああああ! あああああん! あん・・・・・・」

またイカされた。無念極まりない。

(悔しい・・・悔しい!)

瑠璃子は横を向き、唇を噛み締める。両目を閉じると涙がこぼれた。

男たちがどくと、田辺が迫る。瑠璃子の美ボディをさわりながら言った。

「瑠璃子、許してほしいか?」

「・・・許してください」

「よし、約束通り許してあげよう」

「え?」瑠璃子は田辺幹一を見つめた。

「まだ媚薬が残っているだろう。シャワーを浴びさせてあげよう。武人の情けだ」

今度は切川が話しかける。

「瑠璃子。信用して手足をほどくんだぞ。ヘタなまねしてみな」

「絶対しません、信じてください」

「この体メチャクチャにされちゃうよ。嫌だろ?」

「ヤです」瑠璃子はつぶらな瞳で切川を見つめた。

媚薬的な魅力光線に、切川は思わず目をそらす。刑事のくせに、上級者の小悪魔だと感心した。

手足をほどかれると、瑠璃子は急いでバスルームに入り、シャワーを浴びた。

「あああ・・・」

媚薬を落とそうと股に噴射したが、感じてしまった。瑠璃子は屈辱を噛み締めた。無抵抗なのをいいことに、好き放題してくれた。でも今は無傷で開放されることが最優先だ。

シャワーを浴びてバスルームを出ると、切川がタオルを寄越す。ここは素直になったほうがいい。生意気な態度は禁物だ。

「ありがとうございます」

「バスタオルを巻いてもいいぞ」

「あ、ありがとうございます」

瑠璃子はバスタオルを受け取ると、頭を下げ、すぐに体に巻いた。バスタオル一枚の姿もまた、チラリズムが効いていてそそる。

「瑠璃子」切川が言う。「捜査から手を引くか?」

「もちろんです。だって、あたしの勘違いだったわけだから」

「本当に嘘がヘタだね」切川が笑う。

「嘘じゃありません」

「君一人で単独捜査なんかするわけないじゃん」

瑠璃子は唇を結んだ。

「上司に電話しな。とぼけたら電気拷問だよ」

(嘘、どうしよう?)

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