《MUMEI》
3
「んんん・・・」

千香は、ゆっくりと目を覚ました。

「んんん・・・え、嘘?」

千香は自分の格好を見て愕然とした。全裸で手足を拘束されている。しかも大股開きの屈辱的なポーズだ。彼女は身じろぎした。

「くっ・・・」

ベッドではなく床に寝かされていて、手枷足枷でキッチリ拘束されている。自力でほどくのは無理だ。ここは研究室だろうか。倉庫にしては部屋がきれいだ。

「かわいい」

切川琢磨は笑みを浮かべて近づくと、千香のセクシーな美ボディをさわった。

「あっ」

「千香。また捕まっちゃったね。どうするつもり?」

「・・・・・・」

千香は唇を結び、すました顔で切川を見た。ほかの男たちも目が危ない。千香の裸を見て明らかに興奮している。

「千香。手を引くって言うから開放してあげたのに、引いてなかったみたいだね。今度は哀願しても許してもらえないことくらい、わかるよねえ?」

千香は無言。すると、切川はほくそ笑んだ。

「いいね。そういう顔好きだよ。本当は哀願したいんだけど、プライドがそれを許さない。すました顔して強がってるけど、不安な心がもう顔に滲み出ちゃってるんだよね」

千香は唇を噛み、やや目をそらせた。切川は味わうように彼女のおなかをさわりまくる。

「本当にいい体してるね、千香。この美しい体を蹂躙されちゃうんだよ。どうする?」

千香は答えない。切川はなおも言葉で責める。

「刑事である前に女の子だからな。素っ裸にされて手足を縛られたら、強気に出るのは無理だよ。こうなってしまったら哀願しても恥ずかしいことじゃないぞ」

「・・・ほどいて」

「千香。いつまでも生意気な態度取ってるならねえ。いじめちゃうよ、いいのか?」

千香は緊張した。無抵抗では、何をされてもされるがままだ。それは悔しい。

「オレだって鬼じゃないんだからさあ。かわいく哀願されたら許しちゃうかもよ」

敵の誘いには乗らない。千香は意地を張って黙った。すると、男たちが千香の周りを囲む。彼女は一気に緊迫した。胸のドキドキが止まらない。

「何をする気?」

「されてからのお楽しみ」切川は笑った。

六人の男たちが一斉に手を伸ばす。何とくすぐりの刑だ。

「あ、あああ、やめろ!」

六人がかりで全身くすぐりの刑。脇に腰に足の裏など、くすぐりのツボを同時にくすぐられて、千香は激しくもがいた。

「バカ、やめろ、卑怯だぞ!」

男たちは拷問に慣れている。巧みな指技に千香は翻弄された。

「やめ・・・あははは・・・やめ・・・やめろ・・・」

真っ赤な顔で耐える千香。ほとんど呼吸をしていない。切川は言った。

「千香。プライドを捨ててケラケラ笑っちゃったほうが楽だぞ」

「くっ・・・・・・やめろ・・・・・・やめろ・・・」

限界か。千香は両目から涙を流してもがいた。

「あ、あああ、やははは・・・やめろ・・・あはははははは・・・」

悔しい。憎き敵に強制的に笑わされる。これは屈辱的だ。

「やはははは・・・やめ・・・あははっはああひははは・・・」

切川は千香に声をかける。

「千香。降参か? 降参したらくすぐりは許してあげるよ、どうする?」

(悔しい!)

悔しいけど仕方ない。このままくすぐり続けられたら危ない。千香は声を振り絞った。

「・・・やめて」

「降参?」

千香は真っ赤な笑顔で頷いた。

「参った?」切川はしつこい。Sだ。

彼女はひたすら頷いた。男たちはくすぐりをやめた。

「はあ、はあ、はあ・・・」

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