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《MUMEI》 6昇天寸前に追い込まれた。犬はベロベロベロベロと舐めまくる。千香は真っ赤な顔をして哀願した。 「お願いだからやめて！ お願い、お願い・・・いやあああああ！」 ダメだ。イカされてしまう。何とかしないといけない。 「やめて・・・あああ、待って、待って、待って・・・あああああ！ あああああ！ あああああああああああん・・・あっ・・・・・・」 イカされてしまった。 「・・・・・・」 千香は何も考えられなかった。良心のない田辺は意地悪を言う。 「あれれ、もしかして千香君、犬のクンニでイカされちゃったのかな？」 田辺幹一は口笛を吹いて犬を千香から離すと、両目を閉じている千香に声をかける。 「千香君、犬にクンニされて昇天しちゃうとは、君は欲求不満なのか？」 千香は目を開けると、怖い顔で田辺を睨んだ。 「これだけのナイスバディを天から与えられているのに宝の持ち腐れなことして、罰が当たったんだよ、ハッハッハ！」 「・・・あんた、地獄に落ちるわよ」 千香は涙目で田辺をなじった。しかし田辺は笑っている。 「地獄か。犬のクンニで天国に昇っておきながら、そんな偉そうなこと言えるのかな？ 何かなその目は。生意気な態度を取るならいじめるよ」 田辺が千香の顔に自分の顔を近づける。唇と唇が触れそうな至近距離で睨み合う。千香は「ぺっ」と田辺の顔面に唾を吐いた。 「あっ・・・」 子分が急いでタオルを持ってくる。田辺はそのタオルで顔を拭くと、男たちに目配せした。この状況で唾を吐く千香の強気に硬直していた男は、田辺にハケを渡した。 千香は身じろぎする。田辺はハケにバター、つまり媚薬をたっぷりつけると、彼女の左右の胸に塗った。 「やめろド変態！」 「犬のクンニでイッちゃうほうが変態娘だぞ」 「うるさい黙れ！」 強がって怒鳴ったものの、バターを胸に塗られただけで感じて来てしまった。絶対おかしい。千香は息が乱れて落ち着かない。不覚にも乳首が立ってしまった。 「千香君。唾を吐いたことを謝りなさい」 「おまえが謝れ！」 怒鳴る千香をじっと見ていたが、田辺は、男が持ってきたハサミを手にすると、立ってしまった乳首をハサミで挟んだ。 「あっ！」 「さあ、謝れ。謝ったら許してあげる」 千香は蒼白になった。息づかいがさらに荒くなり、胸のドキドキが止まらない。 「謝らないのか。じゃあチョン切るぞ」 「待って！」 プライドを取りたい。しかし体を傷つけられるのは辛い。無念極まりないが、千香は折れた。 「謝りますから、ハサミをどかしてください」 「バカ、謝るほうが先だぞ」 （悔しい。死ぬほど悔しい！） 「・・・すいませんでした」 「嘘偽りの謝罪と判断。切るぞ」 「待って、待って、待ってください！」 待ってくれた。 「ごめんなさい」 女の子らしい、かわいい謝り方に、田辺は満足の笑みを浮かべた。しかしすぐには許さない。ハサミを乳首から離すと、今度はハサミで彼女の股をペタペタペタペタと叩く。 「あああああ・・・」 「普通は許さないぞ、千香君」 「やめて、ごめんなさい、ごめんなさい」 「じゃあ、私の言うことを何でも聞くか？」 仕方ない。今は逆らえない。 「はい、聞きます」 「よーし、そこまで素直にされると、私の慈悲心もくすぐられる」 ようやく田辺の意地悪な攻撃が終わった。 「はあ、はあ、はあ・・・」 千香は打ちのめされた。度重なる屈辱的な仕打ちに、嫌というほど敗北感を感じた。そこへ切川が来る。彼は千香の耳もとで囁いた。 「バターの中には強烈な媚薬が入っていたんだ」 「え？」 「股に塗られたら最後、5分で昇天してしまう非売品だ。つまり、君は犬にイカされたわけじゃないよ」 それだけ言うと、切川はさっさと背を向けて行ってしまった。そんなことを言われたからといって、今さらショックは消えないが、千香は唇を噛んだ。 （何でそんなこと、教えてくれたんだろう？） 前へ |次へ |
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