《MUMEI》 小悪魔戦法 1千香はおそらく研究室に監禁されているのではないか。瑠璃子はそう睨んだ。しかし一人では怖い。また捕まったら今度こそ犯されるだろうし、それだけでは済まない。何をされるかわからない。 「・・・・・・」 瑠璃子は躊躇した。単なる捜査ならここまで体を張らない。大切な体だ。邪悪な男たちに弄ばれるのは悔しい。しかし、千香のことを考えると、早く助けたい。手遅れにならないうちに。殺されるようなことはないと思うが、レイプされたら、それは「手遅れ」なのだ。 内部にも秘密にしている特殊班だけに、警視庁の刑事に協力を仰ぐことはできない。もちろん銃を携帯することもできない。本当は機動隊を出動させたいところだが、捜査令状もないのに無理な注文だ。 やはり一人で行くしかない。あくまでも潜入捜査をして、確かな証拠をつかみ、それを上に報告するのが千香と瑠璃子の任務。だから自分たち二人で解決しなければいけないのだ。 グレーのスーツに身を包んだ瑠璃子。きょうは潜入捜査ではないから、いつもの挑発的なファッションではない。彼女が研究室の近くまで来ると、黒いスーツを着た柄の悪い、屈強な男たちが数人、瑠璃子に近づいて来た。 「ヤバ・・・」 瑠璃子は走って逃げた。すると、男たちも走って追いかけて来た。捕まったら危ない。まさか田辺幹一の手下か。彼女は狭い路地裏に逃げ込んだ。後ろを見ると、男たちが来る。 「嘘・・・」 瑠璃子が逆方向へ逃げようとしたら、前からも敵。後ろも敵。挟み撃ちにされた。瑠璃子は怖い顔で男たちを睨むと、両拳を構えた。 「5対1か。なら金的を容赦なく蹴るよ。いいのか?」 しかし、瑠璃子の脅しは通用しない。男の一人が笑った。 「瑠璃子」 「気安く呼ぶな」 「瑠璃子。やるなら相手するけど、その代わりここでコテンパンに痛めつけて、素っ裸にして散々回してから連れて行くぞ。いいのか?」 「貴様・・・」瑠璃子は足がすくんだ。回されるのは困る。 「素直について来るなら、無傷のまま連れていく。どっちがおりこうさんか考えな」 悔しい。悔しいけど五人とも強そうだ。本当に全裸にされてリンチされたら絶対困る。彼女は唇を噛むと、両手を上げた。 「おお、いい子だな」 「抵抗しないから、スタンガンとか鳩尾はやめてね」 「わかった。そういう乱暴なことはしねえよ」 瑠璃子は男たちに連行されてしまった。車の後部座席に乗せられ、両側から挟み撃ちにされる。 「口と鼻にハンカチを当てるのもなしよ」 「面白いやっちゃな」 「刑事である前に女の子だから。回すとか脅されたらギブアップですよ」 唇を尖らせる瑠璃子がかわいい。男たちは翻弄されたが、同時に彼女を犯したくなった。小悪魔戦法も諸刃の剣なのだ。 前へ |次へ |
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