《MUMEI》
2
研究室の中は清潔だった。瑠璃子は広い部屋に連れて行かれた。そこへ田辺幹一と切川琢磨が入ってきた。

「あっ」

「これはこれは瑠璃子君ではないか」田辺は満面笑顔だ。「自分から火の中に飛び込んで来るとはねえ。やはり君はM子か?」

「・・・千香さんは?」

「大丈夫、無事だよ」切川が笑顔で答えた。

「ところで瑠璃子君。ここへ何しに来たのかな?」

「千香さんを返して」

「その前に身体検査だ。ここで服を全部脱ぎなさい」

瑠璃子は唇を噛んだ。また辱められる。

「自分で脱ぐか。それとも、男たちに乱暴に服を裂かれるほうが燃えるタイプか? ハッハッハ!」

瑠璃子は切川を見た。田辺の後ろに立っているだけで、所長に逆らう気はないようだ。

「さあ、早く、脱ぎたまえ」

「何も持ってないわ」

「そんなに乱暴にひん剥かれるのが好きか?」

男たちが臨戦態勢。いつでもスタンバイOKだ。瑠璃子は仕方なく自分で脱いだ。

スーツ上下を脱ぎ、白いブラウスを脱ぐと、たちまち下着姿だ。水色のセクシーなブラジャーとショーツ。瑠璃子の魅惑的な姿は、男たちのS心を強く刺激して、ハイエナに豹変させてしまう。

瑠璃子は緊張した。今にも男たちが飛びかかって来そうで怖い。

「下着は勘弁して。恥ずかしいわ」

「そんなに乱暴に扱われたいか? よし、おまえたち・・・」

「わかったやめて」瑠璃子は慌てて両手を出した。「田辺所長さん。裸にはなるけど、その代わり酷いことはしないと約束してくれますか?」

「よし、おまえたち、いいぞ」

「わかった、待って、待って、待って!」

待ってくれた。

瑠璃子はムッとすると、小声で文句を言いながら下着を取った。

「そんなに見たいなら見せてやるわよ、ド変態」

ブラジャーを投げ捨て、最後の一枚も床に叩きつけた。田辺はほくそ笑むと、両手で胸と下を隠す瑠璃子に言った。

「瑠璃子君。何かなその生意気な態度は?」

「別に」

「おい、おまえたち」

「はい」

「この子はまだ、自分の今置かれている立場がわかっていないようだ。教えてあげなさい」

「はい」

男たちが歩み寄る。瑠璃子は下がった。

「待ってよ。わかってるから素直に聞いているわけでしょ・・・きゃあああ!」

五人が一斉に襲いかかる。押し倒された。両腕を押さえられ、両足も押さえつけられ、素っ裸を晒す。なぜか一人の男がボクシングのグローブを両手にはめている。瑠璃子は慌てふためいた。

「待って、何をするの?」

男は瑠璃子のセクシーな美ボディめがけて、非情にも腹パンチ連打だ。

「うぐ、うぐ、うぐ・・・」

痛い。苦しい。瑠璃子は腹筋に力を入れたが耐えられない。頬を膨らませ、両目から涙を流し、弱気丸出しの顔で首を左右に振り降参の意思表示だ。

「んんん! んんん! んんん!」

田辺は瑠璃子の横にしゃがむと、聞いた。

「降参か?」

「んんん!」瑠璃子は泣き顔で何度も頷いた。

「参ったか?」

「んんん!」許してくれるまで頷き続けるしかなかった。

「よし、いいだろう」

男が腹パンチをやめると、瑠璃子は「げぼげぼ」と息を乱した。

「はあ、はあ、はあ・・・」

かわいそうに汗びっしょりだ。田辺は彼女のおなかをさすってあげながら、言った。

「今度生意気な態度を取ったら、降参しても許さないよ」

「わかったからおなかはやめて、ホントに死んじゃうから」

「ハハハ、かわいいな」

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