《MUMEI》
3
田辺は立ち上がると、「ちょっくら千香を見に行くぞ」と言って、部屋を出ていった。代わりに切川が瑠璃子の横にしゃがむ。

一糸まとわぬ姿で仰向けに寝ている瑠璃子がたまらなく魅力的だ。瑠璃子は甘えた表情をすると、つぶらな瞳で切川琢磨を見つめた。

「琢磨さん」

「何だ?」

「おなかをさすってくれますか?」

「まだ痛むか?」と切川は彼女のおなかをさすった。

「んんん・・・」

瑠璃子は気持ち良さそうに瞳を閉じて、甘い吐息を吐く。切川はおへその周りからわざと下腹部に移動する。瑠璃子は色っぽく腰をくねらせた。

「あ、そこは・・・」

「ココ気持ちいいのか?」

「いえ」

「そういうヘタな演技をするなら、もっと下に移動しちゃうぞ」

瑠璃子は目を開けた。

「何ですか演技って?」

「そんなかわいい態度取って、オレを油断させようと思っても無駄だぞ」

瑠璃子は怒った調子で返した。

「あたし、犯人に二度も降参したんですよ。もう刑事とは名乗れないわ。あなたはイイ男だし、あたしのタイプだから。好きなタイプじゃなかったら助けを求めたりしない」

「・・・何言ってるんだ?」

「あの所長に大切な体をメチャクチャにされちゃうのはイヤ。助けて。琢磨さん」

演技なのか。本心か。切川は瑠璃子の目を見て探った。刑事といえども生身の体だ。心が折れることはあるかもしれない。

「助ける?」

「あなたの女になるわ。そしたら所長も手を出せないでしょ」

セクシーな声が切川の胸に響く。瑠璃子はさらに迫った。

「あたし、そんなに魅力ない?」

「魅力的だよ」

「あたしを抱きたくない?」

「犯したいよ」

瑠璃子は赤面すると、目をそらした。

「琢磨さんになら、抱かれてもいいわ」

切川は迷った。罠か。しかし、瑠璃子はかわいい。この美ボディはたまらない。犯したい。抱きたい。

「瑠璃子。おまえを信用して、罠とかだったら、電気拷問だよ」

「嘘」瑠璃子は笑った。「手足を縛って?」

「当たり前じゃん」切川も笑う。

「ギャーギャー泣きながら哀願しても許してくれないんでしょ?」

「当たり前じゃん」

「嘘」瑠璃子は身じろぎして見せた。「でも大丈夫。あたしは裏切る気はないから」

切川は瑠璃子の手を引いて起き上がらせると、言った。

「来な」

「え?」

「寝室だよ」

「あたしを犯すの?」瑠璃子は小首をかしげる。

「犯すよ」

切川琢磨は、寝室に瑠璃子を連れ込むと、彼女をベッドに押し倒した。真っ裸の瑠璃子は、約束通り抵抗しない。切川は貪るように全身に舌を這わす。

「んんん・・・」

不意打ちの膝が瑠璃子の無防備な股に当たる。

「あっ」

「瑠璃子。キスしたら、口の中に隠していた眠り薬をオレの口に入れる気だろう?」

瑠璃子はキュートなスマイルを向けると、口を大きく開けて見せた。

「あーん。信用しないなら調べてもいいよ」

「わかった、ごめん。もう疑わない」

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