《MUMEI》
3
何十本あるかわからない触手に全身の敏感なところを同時に責められて、千香は心底参っていた。魅力的な裸の女刑事が陵辱の限りを尽くされている。現実では決して見ることができない光景に、田辺は酔っていた。

「千香君。許してほしいか?」

「許してください!」

「気持ちいいか?」

「やめて!」

「正直に質問に答えないなら許してあげないよ」

悔しい。千香は完全に気が動転していた。

「気持ちいいか?」

「・・・気持ちいい」言うしかなかった。

「もっと色っぽく、女の子らしく、かわいらしく言わないと許してあげないよ。何せ私は意地悪だからね。ハッハッハ!」

おかしくされてからでは遅い。千香はプライドを捨てて叫んだ。

「気持ちいい! 気持ちいい!」

「かわいい!」田辺は感動した。「誇り高き君がそこまで言うということは、よほど許してほしいんだな?」

「お願いです、許してください!」

田辺はキーボードを操作する。

「では千香君。こういうところ責められたら終わっちゃうだろ?」

「え、あ、嘘でしょ・・・あああああ! 待って、待って・・・あああああん! あああああん!」

千香は泣き顔で激しく暴れた。気持ち良過ぎる。彼女は仰け反り、口を大きく開けて、目の焦点が合ってない。

「はああ、はああ、はあああう・・・」

しかし田辺は構わず責め続ける。

「女の弱点も同時に研究しつくしているのだよ。甘くないよ」

「はあああ・・・はああ・・・はあああああ・・・・・・」

目を見開いていた千香が、両目を閉じ、ガクンと脱力した。

「お、失神してしまったか。しょうがないなあ」

田辺幹一はキーボードを操作する。触手は静かに千香を床に下ろした。両目を閉じ、口を開けたまま大の字になっている無防備な千香を見て、田辺は満足の笑みを浮かべた。

「ふふふ」

そこへ切川琢磨が来た。千香の姿を見て、やや顔をしかめた。

「うわあ」

「実験は成功だよ切川君」

「成功?」

「あの強気でプライドの高い千香君が、泣き顔でやめて許してと哀願し、最後は気持ちいいと叫びながら失神してしまったぞ」

切川は千香を見た。

「君にも見せたかった。人生でこれほど興奮する時間はなかったぞ」

「はあ」

「次は瑠璃子君だ。瑠璃子刑事を連れて来たまえ」

切川は神妙な顔になると、田辺に言った。

「それなんですけど」

「何かな?」

「瑠璃子はちょっと・・・」

「ちょっと何かね?」

切川は意を決して言った。

「瑠璃子は勘弁してください」

「・・・どういう意味かね?」

「あの子は、オレの女になったんで」

田辺は無言のまま切川を見つめていたが、突然大笑いした。

「ガッハッハッハ! そんなもん演技だよ演技。あの子は究極の小悪魔だぞ」

「小悪魔は認めますけど、小悪魔だって人間です。観念して、オレの女になるから許してと」

「バカだな君も。嘘に決まってるだろそんなこと」

しかし切川は頭を下げた。

「お願いです所長。瑠璃子だけは、勘弁してください」

ゴリ押しして仲間割れも困る。だが、瑠璃子も千香とはタイプが違うだけに、触手に陵辱されて、どんな哀願をするか見てみたい。

「わかったよ切川君。ただし条件がある」

「条件?」

「瑠璃子君に負けないルックスの女の子を、一人連れて来たら、瑠璃子君を実験台にするのは諦めよう」

切川琢磨は心底困った。

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