《MUMEI》
無題
「ねえ、僕の“お父さん”と“お母さん”はどこにいるの?」

 院の先生にそう訊くと、必ず困った顔をされた。知らない人物の事を訊くのはおかしくない筈だ。
しかし決まって困った顔をされる。

「まさごくん、あのね……」
「僕、会ってみたいなあ」

 先生は何か言おうとしたが、目の前は暗転してしまった。

「主、朝じゃ」

 いつもの声がした。僕の、一番好きな声。

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