《MUMEI》
身長の格差社会
「……おかしく、ないか?」

本部長が不安げに見上げてくる。

今の身長を高い順に揃えると、
俺(嵐山) 163cm
充    160cm
本部長  152cm
賢    151cm

である。

「大丈夫ですよ。俺も、なんか変な感じです」

本部長を見下ろすのは不思議な気分だ。

「……あまりじろじろ見ないでもらえるか?」
「あ、す、すいません」
「………あと、敬語は要らない」
「は、はい……じゃなくて、ああ」

本部長が小さい。
そして、本部長に向かって敬語を使わないのは大変だ。

「……おお、新学期の準備にはダイアゴン横丁じゃ。暖炉は……ないのじゃな、なら“姿現し”で行くしかないようじゃ」
「“姿現し”?」
「簡単に言えば瞬間移動じゃ。さあさ、掴まりなさい」
「はい……」

しっかりと、ダンブルドア校長のローブを握る。

「……では、行くぞ……」

ぐるぐると景色が回転する。
酔いそうだ。

# # # #

「うう……」
「賢……大丈夫か?」
「…………はい」

賢の呼吸が落ち着いてから、路地を抜ける。

「うわあ……」

目の前に広がる、賑やかな通り。

「この先のグリンゴッツ銀行という所で、君達の友人が待っておる。わしは忙しいのでな、ここからの案内はハグリッドという男に任せる。ではまた、ホグワーツで会おうぞ」
「は、はい」

ダンブルドア校長は、いたずらっぽく笑うと姿を消した。

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