《MUMEI》
佐鳥・時枝とハリーが仲良くなる回。
「……でさ、半崎っていうヤツがさ〜」
「そうなんだ!ねぇ、もっとその話聞かせて!」
「いいよ!……とっきー?そっちもとりまるの話聞かせてよー」
「ああ、ごめん。佐鳥があまりにも嬉しそうに話すもんだからさ」
「……えへへ」

佐鳥と俺、ハリーは制服の採寸をしていた。
ハリーは、佐鳥の同級生の話に夢中になっていた。
半崎、笹森、別役、烏丸。
学校やボーダー本部で起きた、少し笑えるような出来事。
それを佐鳥が話すと、途端に笑いが大きくなる。
佐鳥のその話し方とくるくる変わる表情は、いつも俺達を楽しませてくれる。

「……で、とりまるが言ったんだよ。『小南先輩、こんなの嘘に決まってるじゃないですか』って」
「…それで?コナミさんは怒ったんじゃない?」

ハリーが不安げに聞く。
佐鳥が、小さく溜め息をついて頷いた。

「うん、めっちゃ怒ったよ。でも、俺の首絞めたんだよ!?俺なんかしたかなぁ……」
「苦労してるんだね、サトリは」
「さあ、終わりましたよ。坊っちゃん」

マダム・マルキンが声をかけてくれた。
俺達は踏台を降りてマダム・マルキンに礼を言い、店を出た。
そして、ハグリッドが持ってきたアイスを食べながら【フローリシュ・アンド・ブロッツ書店】へ向かった。

「嵐山さーん!」
「賢!採寸は終わったんだな!」
「うー、佐鳥は151cmらしいですよー。とっきーは160cm超えてるのにー」
「っはは、そっかそっか」

むうっと膨れる佐鳥の頬を、東さんがつついた。

「ほら佐鳥、教科書持っとけ」
「うおぁっ!?おっも!!」

俺も、忍田さんから大量に教科書を持たされた。



…………めちゃくちゃ重いなコレ。

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