《MUMEI》
幼い私が見た夢
目を開くと、私の前に

同い年くらいの四人が居た。

毛先にかけて暗い赤に染まった、

黒い髪の紅い瞳が綺麗な男の子と

毛先にかけて暗い青に染まった、

黒い髪の蒼い瞳が綺麗な男の子。

この二人は双子かな、って

思う程に似ていた。

右側に居る赤髪の男の子の隣には

黒髪で、暗い赤紫の瞳の男の子。

左側に居る青髪の男の子の隣には

長い黒髪で、暗い青紫の瞳の女の子。

とりあえず、私は名前を聞いた。

「私は、桜花(オウカ)!

あなた達は?」

赤髪の男の子が口を開く。

「俺は……赤の君主。

紅(コウ)と言う。」

続いて青髪の男の子。

「僕は、蒼(セイ)。

青の君主さ。」

君主の意味は解らないけど、

主って言うのだから……

凄い人なのかなって思った。

「僕は夕空の主、風月(フウヅキ)。」

「私は夜海の主。波月(ナミヅキ)……」

「みんな、綺麗な名前だねっ!」

にっこりと笑う。

そうすると、みんなが

少しだけ微笑んでいた。

「ねぇ、此処って……

何処なの?」

ぐるりと見渡してみれば、

四人の後ろには

右に赤い屋根、左に青い屋根の

和風の御城みたいな建物が二つある。

空は昼間のような明るさで、

遠くで海の波音が聞こえた。

「どう説明すべきだろうか……」

赤髪の男の子、紅は

考え込むような表情をしていた。

「とりあえず……

寝殿造りの赤い建物は俺の。」

「僕は青い屋根の方だね。」

あの建物は、寝殿造りって

言う建物の名前らしい。

だけど私は思った。

「お家……?」

「あぁ、そうだが?」

「うん、そうだよ?」

「家族のじゃなくて?」

「家族なんて居ないけど……」

居ない……?

「い、居ない……って?」

「そのままの意味。

まぁ、こうとは言っておく。

此処は夢の世界だ。」

夢……?

まぁ、夢なら居なくても

困らないよね!

なんか、納得しちゃった。

「でも、桜花。

もう目覚めな。」

「この夢を見たのが、

運の尽きだったねぇ。」

蒼は不思議な笑みを浮かべる。

「十四の誕生日になれば、

全てが分かる……」

風月は哀れむような目で

私を見てきた。

「では、お休みなさい。

その日まで……」

波月も悲しそうな表情で

そう言ってきた。

十四歳の誕生日……

覚えておこう。

何の事かは分からないけど……

「じゃあな。」

冷たく言い放つように

紅がそう言えば、

意識を手放した。


「……!」

目覚めると、普通に私は

お布団の中に入っていた。

いつもの風景。

「桜花ちゃんー、起きたの?

朝ごはん食べて幼稚園行くよー!」

お母さんの声がする。

「はーい!」

私はお母さんの元へ行った。

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