《MUMEI》
桜が綺麗な春の日
「誕生日、おめでとう!

桜花ちゃんっ!」

「ありがとう……!」

今日は十四歳の誕生日。

お母さんは、とびきりの

笑顔を見せてくれた。

お母さんの笑顔って、何だか

こっちも笑顔になる表情。

「今年も桜が綺麗ね……

桜花って名前も、この桜の

花に例えて付けたのよ。」

「それ、去年も話してたね?

でも、習慣みたいだよね。」

「あら、そうだったかしら?

でも、確かにそうねぇ。」

柔らかな笑顔をまた見せてくれた。

どんなプレゼントよりも、

祝ってくれた人の笑顔が

やっぱり最高のプレゼントだと思う。

「あぁ、そういえば……

はい!」

私の前髪に何か付けてくれた。

鏡を見ると、綺麗な桜の髪留め。

「それね、桜花ちゃんからすると

お祖母ちゃんから貰ったやつなんだ。

私の誕生日にくれたんだけど

桜花ちゃんに似合いそうだなって……!」

「へぇ……」

桜色の髪留めは数十年の年月を

経って存在しているとは

思われるが、色褪せていなく

とても綺麗な状態だった。

「桜花ちゃん、似合ってる!」

私は嬉しさで自然に笑みが溢れる。

「ありがとう……大切にするね!」

それから私は、この一年の事を

一緒に話した。

そして、楽しい一日を過ごした。

「……そういえば」

十四歳の誕生日に……

何かが起こる。

誰かにそう言われた気がする。

「っ……」

目眩がして、私は布団に

倒れ込んだ。


「……?」

目が覚めると、どこだか分からない

場所に私は居た。

「……やっと来たか。桜花。」

「……えっ。」

聞き覚えのある声。

私が小さな頃に見た夢の中で

聞いた事のある声。

だが、あの幼い声ではない。

私は後ろを振り返った。

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