《MUMEI》
2
片瀬は、悪魔の笑顔でリモコンを操作した。すると、マッサージチェアから何本もの白いハンドが出てきた。彩は赤い顔でもがきながら懇願した。

「ホントにやめて、あたし、ホントにダメですから!」

「甘いよん」

Sに弱点を教えたら、そこを責められてしまう。若い彼女がマニアの傾向を知らないのは無理もない。

「さあ、女の子。たっぷりかわいがってあげるから観念しな」

ハンドは無情にも彩の全身をくすぐりまくる。脇に腰におなかに足の裏と、彩の全身のくすぐりのツボを同時にくすぐられる。これは苦しい。

「あああ、待って・・・きゃははははははははは、あははははははは、あはひはははははひゃはははやめははは・・・」

彩は真っ赤な笑顔で暴れた。もう声を発することもできない。歯を食いしばり、首を左右に振ってギブアップの意思表示。本当に息をしてなさそうなので、片瀬は一旦止めた。

「あああ・・・はあ、はあ、はあ・・・」

汗びっしょりかいて苦悶の表情の彩。片瀬は感動していた。

「はあ、はあ、はあ・・・やめて、くすぐりは許して」

「じゃあ、キスさせて」

「え?」

「聞こえているのに、えってとぼけたので、くすぐりの刑」

「待って・・・やははははは、あはっはははははははひゃははははあひはやえははやめははははは・・・・・・」

彩は笑い顔からすぐ泣き顔になり、首を左右に振る。片瀬は意地悪く聞いた。

「降参?」

彩は何度も頷いた。

「降参?」

意地は張っていられない。彩は許してくれるまで頷いた。

「かわゆい。かわい過ぎる」

片瀬はくすぐりを止めた。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・・やめて、片瀬さん、ホントに死んじゃうからやめて」

両目を閉じたまま、息を弾ませる彩が魅力的に映る。片瀬は心底抱きたいと感じた。

「さやか」

「はい」

「くすぐりの刑とキスと、どっちがいい?」

「・・・キス」即答するしかなかった。

「よーし」

片瀬に唇を奪われる。

「んんん・・・」

無念だが仕方がない。ここで拒めばくすぐりの刑に遭わされる。彼女は身を守るために自ら舌を絡ませた。片瀬も乗ってきて情熱的なキス。彩の愛らしい唇をとことん味わう。

「・・・さやか。嬉しいことしてくれるじゃないか」

「許してほしいからです」

「おまえはかわいい。本当にかわいい」

「片瀬さん。とにかく、くすぐりだけはやめて」

「さやか次第だよ。生意気な態度を取ったり、ヘタなまねをしたら1時間くすぐりの刑だよ」

「そんなことしたら死んじゃいます」

「だからおまえ次第だよ」

全裸で無抵抗では逆らえない。彩は無理せずじっとしていた。

「次は何して遊ぼうか?」

「もう許して」

「甘いよさやか。婦警にここまでしたら絶対に逮捕でしょ」

「ほどいてくれたら逮捕はしません」

「僕は信じない」片瀬は両目をまん丸くして彩を見る。「逮捕されない方法はただ一つ。連続アクメでよがり狂わせてメロメロにして、さやかを虜にしてしまうことだ。ハハハ」

冗談ではない。そんなことされてたまるか。彩はもがいた。

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