《MUMEI》
3
白いハンドが引っ込むと、今度は黒い手袋のようなものが何本も出てきた。

「ヤダ、お願いだからくすぐりはやめて」

「心配するな。くすぐりじゃないよ。本来のマッサージチェアに戻ったんだ。ハハハ。さやかのボディをたっぷりマッサージしてあげるから、覚悟しな」

彩は緊張した。最後の覚悟という言葉が気になる。黒いハンドは、彩の裸体を揉みほぐす。

「んんん・・・」

高性能のマッサージチェアはかなり優れている。しかし、もしも性感マッサージ用にハンドの動きを開発したら、どうなるか。

「あっ・・・」

左右の胸を揉まれ、おなかを巧みにマッサージされる。気持ちいい。そして、股を圧迫するように揉みほぐし、微妙な刺激を加える。

「んんん・・・」

片瀬がリモコンを操作すると、一気にハンドの動きが激しくなった。

「あ、ちょっと待って」

指も巧みに使い、彩の全身の敏感な弱点を同時にマッサージする。これは1対1のセックスでは絶対に味わえない快感だ。彩は耐えきれずに腰を浮かした。

「あ、くっ・・・あああ・・・」

「どうしたさやか。気持ち良くなっちゃったか?」

「止めて」

「止めないよ」片瀬は面白がって意地悪を続ける。「これは性感マッサージ用に動きを研究・開発した優れものだ。実際に女子を使って実験を繰り返し、最適な動きに近づけたんだ」

「嫌がっている女に使用したら犯罪です」

「知ってるよ」

普通のまじめなマッサージでもうっとりしてしまうのだ。性感マッサージ用に動きを変えられたら、女の子はたまらない。

「・・・やめて」

「やめないよ」

「お願いやめて」

「その慌てぶりはイッちゃいそうなのか、さやか?」

「まさか」

唇を噛んでポーカーフェイスを保とうとする彩がかわいい。しかし、全身の敏感な弱点をマッサージされて、思わず腰が動いてしまう。

(ダメだ、耐えられない)

耐えられないなら、哀願してでも許してもらうしかない。婦人警官が犯人の男に虜にされるなど、絶対にあってはならないことだ。

「片瀬さん、どうしたら許していただけますか?」

「絶対に許さないよ」

「どうして!」彩は赤い顔をして大きい声を出した。

「だって、散々生意気な態度を取ったでしょう」

「それは・・・」

「手足拘束されて無抵抗にされてから低姿勢になっても遅いんだよ」

話している間にも快感が押し寄せて来る。同じ男に二度も落とされたら弁解できない。

「生意気な態度を取ったことは謝ります。すいませんでした」

「ダメ」

「申し訳ありませんでした!」

「ダメ」

彩は困り果てた。このままではイカされてしまう。

「さやか。女の子のごめんなさいは効くんだぞ。かわいく、ごめんなさいって謝ったら一旦待ってあげる」

変態じみてきた。正直怖い。大切な体をオモチャのように弄ばれるのか。

「・・・ごめんなさい」

「かわいい!」

「んんん・・・あああ、ちょっと・・・あああああん!」

限界だ。昇天寸前。彩は泣き顔で謝った。

「ごめんなさい、ごめんなさい、許して・・・あああ、ヤダヤダヤダ・・・待って、待って、待って!」

待ってくれた。

「はあ、はあ、はあ・・・」

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