《MUMEI》
7
片瀬は、裸の彩の腕をつかんで引っ張っていく。奥にもマッサージチェアがあった。

「すわりな」

「え、愛撫じゃなかったんですか?」

「言うこと聞くって言ったよねえ」

「言いました」

彩は、怖いけど仕方なくすわった。片瀬がリモコンを操作すると、すぐに背もたれが倒れ、仰向けの体勢になり、両腕はクロスして頭の上だ。

両足も動かせない。彩は緊張の面持ちで片瀬を見た。酷いことだけは許してほしかった。

「何、僕のこと殺そうとしたの?」

「違います」

「違くないでしょう。殺そうとしたんでしょ?」

「ごめんなさい。許してください」

片瀬は危ない笑顔で歯を見せる。

「殺すの失敗して、ごめんなさいで許してもらえると思ってる?」

もはや万事休すか。彩は身じろぎした。

「殺される前に殺すよ」

リモコンを操作する。今度は手袋ではなくボクシンググローブが二つ出てきた。彩は慌てて言った。

「ちょっと待って、何をする気?」

「だから殺される前に殺すって言ったでしょう」

「待って、嘘でしょ」

「嘘じゃないよ。何か言い遺すことはない?」

本気なのだろうか。彩は哀願に満ちた目で片瀬を見つめた。

「待って、命だけは取らないで」

「甘いよさやか」

片瀬がリモコンを操作する。ボクシンググローブは、彩のおなかをボカボカと交互に叩きまくる。

「んんん! んんん!」

腹筋に力を入れたがとても耐えられない。死んでしまう。彩は両目から涙を溢れさせ、頬を膨らませ、苦悶の表情で首を左右に振った。

「んんん! んんん! んんん!」

「無理?」

「んんん!」彩は泣きながら頷いた。

「許してほしい?」

「んんん!」彼女は何度も頷いた。

腹パンチ連打は止まった。彩は声を上げて泣いた。

「あああああん!」

本当に殺されてしまうかと思った。ここで終わるなんて絶対に嫌だった。

「はあ、はあ、はあ・・・」

「さやか」

「・・・はい」

「普通は許さないよ」

「はい」

「それはわかるだろ?」

「わかります」

片瀬は彩のおなかをさすった。

「命は勘弁してあげるけど、体は奪うよ」

命には代えられない。彩は観念したのか、唇を噛んで横を向き、目を閉じた。

「あれ、哀願しないのか?」

彩はもう一度片瀬を見つめた。

「諦めちゃうのか?」

「もしも許してくれたら一生恩に着ます」

「かわいい」

片瀬はゆっくり移動すると、小型の機械を持ってきた。そしてコードにつないだりしている。彩は怖々と片瀬の作業を見ていた。

「さやかチャン。罰として犯そうと思ったけど、それも許してと言うなら仕方ない」

片瀬はコードの先を左右の乳首とおなかと股に持っていき、テープで固定した。まさか電気拷問か。

「あ、ちょっと待って」

「待たないよ」

非情にも彩のクリトリスにもつなげる。

「やめて、そこはやめて!」

「甘いよ」

さらにお尻に内腿、両膝にもつなぐ。彩は激しくもがいた。

「やめて! これじゃ許したことにはならない!」

「うるさいよさやか。人を殺そうとしておいて、甘いぞ。スイッチオン」

電流が流れる。

「ぎゃああああああああああ!」

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