《MUMEI》
8
片瀬晴久は、早速海の家で働いていた。危ない笑顔で、セクシーな水着姿の若い女を誘っている。

「さあ、そこの美しいお嬢さん、マッサージチェアで癒されませんか?」

しかし皆去っていく。片瀬は意気消沈した。

「きょうは全然ダメだなあ」

まさか、警察に連行されたのが噂になっているのだろうか。いや、海水浴客がそういう噂を知っているわけがない。

片瀬は沈んだ表情で空を見上げた。もうすぐ夕方の時間。そろそろ店じまいだ。

「ふう」

ちょうど店を閉めるところを見計らって、ずっと監視していた彩が現れた。しかも水着姿だ。

「さやかチ・・・婦警さん」

水色のセクシーなビキニ。短めの黒髪がよくマッチしていて、たまらなく魅力的だ。やはりこの美ボディを見ると犯したくなる。

「どうですか?」

「ボチボチです」

「女の子に悪さなんかしてないでしょうね?」

「まさか、まさか」

片瀬が店をしまうと、彩は言った。

「ここに置いてあるマッサージチェアは、全部まじめなマッサージでしょうね?」

「当たり前じゃないですか婦警さん。疑うならすわってみます?」

そう言われて彩はドキッとした。胸の鼓動が高鳴る。彼女はすました顔をして片瀬を見ると、言った。

「そうですね、調べさせてもらいますよ」

「じゃあ、奥に新型があるんですけど、調べてみますか?」片瀬の目が危ない。

「新型?」

二人は倉庫の中に入った。監禁されたとき、彩が寝かされたベッドが、そのときと変わっていた。

「これが新型?」

「そうです。マッサージチェアではなく、マッサージベッドというのを開発中です」

「マッサージベッド? 売れるかもね」

「でしょう?」

彩は笑みを浮かべると、片瀬に言った。

「もちろん、まじめなマッサージなんでしょうね?」

「当然ですよ。嘘だと思うなら寝てみます?」

彩はますます胸のドキドキが激しくなっていく。不用意に寝て、もしもまた性感マッサージだったらアウトだ。しかし、せっかく釈放されたのに、自ら再び投獄されるようなことはしないだろうと彩は思った。

「じゃあ、試してみましょうかね」

「その代わり婦警さん。これは全裸で寝てもらいますよ」

「嘘」

「ホント」

「全裸で?」彩は笑った。

「はい、全裸です」

彩は迷った。なぜ全裸でなければダメなのだろうか。いくら片瀬に裸を見られたとはいえ、全裸になるのは恥ずかしい。それに二人きりで裸になるのは、あまりにも危険過ぎる。

「やめときます? 別にいいですよ僕は。その代わり確かめもせずに性感とか疑うのはやめてくださいね」

強く言われたので、彩はムッとすると、言ってしまった。

「誰がやめると言った? 確かめるわよ。それがあたしの仕事だから」

「婦警さんも大変ですね」

嘘をついた。婦人警官がこんな単独捜査をすることなどあり得ない。

「もちろん片瀬さんの誓いを信じているから、裸で寝るんだからね。裏切っちゃダメよ」

(かわいい!)

片瀬は泣くほど感激していた。こんなかわいい女の子と出会ったことがない。

「安心してください。でも、うっとりするほど気持ちいいですよ」

「気持ちいいのは嫌いじゃないけど」

彩は、ブラジャーを外した。

「見ないでよ」

「はいはい」

ビキニも取り、生まれたままの姿になると、ベッドに上がった。

「仰向け?」

「そう、仰向け」

彩は赤面していた。やはり一糸まとわぬ姿というのは恥ずかしいし、怖い。胸のドキドキが止まらない。胸と下を手で隠すポーズが興奮を誘う。片瀬の理性はとっくに万里の果てまで飛んでいた。

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