《MUMEI》
9
黒いハンドが彩の両手両足をつかみ、大の字にした。これでは胸と股が丸見えだ。

「ちょっと、そんなジロジロ見ないで」

「相変わらず美しい体してますね。本当に素晴らしい。魅力的な体です」

裸を見られるのは恥ずかしいが、体を褒められるのは嬉しい。彩は怒らずに唇を結んだ。両腕両脚を同時に揉まれ、たまらなく気持ちいい。

「んんん・・・」

「どうです、気持ちいいですか?」

「気持ちいい」

うっとりする彩の表情が魅惑的だ。片瀬は心身ともにエキサイトして困った。

「え?」

いよいよ本番。何と下からもマッサージが始まる。背中と肩をやさしく揉まれ、彩は参った。

「嘘、気持ちいい!」

思わず笑顔になる。両腕両脚に、肩と背中、腰を巧みな技で揉み揉みされて、彩は陶酔していた。

「気持ちいい・・・」

「気持ちいいでしょう。でも、もっと気持ちよくなるから楽しみにして」

全身のツボを同時にマッサージされる。これは一人の人間には無理だ。大勢の男性に囲まれてマッサージされているみたいで、彩は興奮してきてしまった。

(あ、いけない)

これは任務なのだ。溺れてはいけないし、油断は禁物だ。

「あれ?」

今度は下からお尻を責められて、彩は焦った。文字通り全身マッサージだ。さらに上からおなかをマッサージされ、ついに左右の胸も揉まれた。

「ちょっと!」

注意しようとしたが、黒いハンドは彩の股を巧みにマッサージする。彼女はもがいた。

「何よこれ、話が違うじゃない!」

「さやか。罠に落ちたね」

「嘘でしょ」

両腕両脚を揉まれているから無抵抗なのだ。下からお尻を、上から胸とおなかと股をマッサージされ、彩は腰を浮かした。

「あっ・・・ちょっと・・・くううう」

まんまと全身性感マッサージにハマッてしまった。死ぬほど気持ちいいので反発する言葉も浮かばない。

「あああ、やめて、参ったから、怒らないから止めて」

「ほどいたら逮捕でしょう?」

「逮捕なんかしません」

「警察なんか信じないよ」

「あああ、お願いやめて、やめて・・・あああああん!」

ダメだ。気持ち良過ぎる。全身の弱点を同時に性感マッサージされるなど、普通のセックスでは不可能だ。これはたまらない。

「あああああん、あああああん、やめて、やめてください」

「やめないよ。とことんいじめてあげるから、観念しな」

「あああああ!」

これはもう理屈ではない。ここまで気持ちいい目に遭わされたことがない。彩は口を大きく開け、両目をきつく閉じ、舌を出してしまった。

「はあああ、はあああ、ああふ、はあう・・・」

「気持ちいいか?」

「気持ちいい、許して」

「許さないよ。さやか。ホントはエッチな意地悪をされることを期待してたんだろう?」

失礼なセリフに理性を取り戻した彩は、片瀬を睨んだ。

「何言ってるの。自惚れないでよ」

「あれれ、そういう生意気な態度取るなら容赦しないよ」

「え?」

片瀬がリモコンを操作すると、左右の乳首と股へのマッサージが激しくなった。

「あああああん!」

この刺激には耐えられない。イカされてしまう。彩は仰け反って悶えた。

「あああああ! 待って、やめて、やめて」

「かわいい!」片瀬は面白がってとことん責め続ける。

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