《MUMEI》
8
ピンポーン。

小池はまだ起きていた。夜の11時。こんな遅くに誰だろうか。彼は警戒しながら受話器を取った。

「はい?」

「あたし、彩です」

「さやかチャン」

小池は急いでドアを開けた。意気消沈した彩が立っていた。

「どうした?」

彩は玄関に入ると、暗い表情で小池の服をつかんだ。

「助けて」

「え?」

「助けてください」

小池は、彩の両肩に手を置いた。

「もちろん助けるよ。話してごらん」

男に頼るのは情けないのかもしれないけど、女がピンチのときに、優しく助けてくれるのは貴重な存在だ。彩は泣き顔で小池の胸に顔をうずめた。

「・・・さやかチャン」



片瀬晴久の倉庫に、怒りの形相の小池刑事が、数人の刑事と一緒に突入した。

「片瀬晴久。監禁の容疑で逮捕する」

「監禁?」

「おとなしく来い!」小池は殺意の目になっている。

しかし片瀬は笑った。

「何の話かな。監禁なんかしてないよ。彼女のほうから遊びに来たんだから」

「黙れ!」小池は怒鳴った。「彼女って何だ。オレを監禁したことで連行するんだ。このオレが被害者だ!」

「汚ねえ」

「おまえが言うな」

片瀬は目を丸くしてなじった。

「警察は本当に汚いことするね」

「だからおまえが言うな!」

片瀬は手錠をかけられ、警察に連行された。車の中で、片瀬晴久は、彩のことを思っていた。

(さやかチャン。裏切ったね。絶対に許さないよ)

彩の手足を縛って真っ裸にして、どんな拷問をしてあげようか。妄想すると、片瀬は不気味に笑った。

大の字拘束の大股開きという屈辱的なポーズにして、股にバターを塗り、熊のように大きな犬を登場させる。

「ふふふ」

彩の慌てふためく姿を想像し、片瀬は興奮した。しかし、どんなにやめてやめてと哀願しても、容赦しない。裏切者は許してあげない。大切なところを犬にクンニされるという、女の子にとっては耐え難い恥辱。

(そうだ、媚薬を塗って電マで責めて昇天寸前の状態にしてからバター犬だ。犬のクンニでイカされるわけには死んでもいかないから、必死に耐えるはず。イッちゃったらごめんねって感じ?)

「くっくっく」

「何を笑ってる?」

警官に睨まれても、片瀬は声を出して笑った。

「あははははは!」

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