《MUMEI》
旅出ちと出会い(二)
まだまだ薄暗い朝。

夕日、夕里、咲来が合流して

風雅と零が三人と出会った頃。

一方、夕日と出会って別れた

朝霧 桜鬼は歩いていると、

一人の少女が視界に入る。

なんとなく話しかけてみた。

「あのー、ちょっと良いかな」

「っ……!?は、はい……」

振り向いたのは黒髪の少女、

涙月 澪。

「ねぇ、お散歩?」

「え、えっと……まぁ、

家には帰らないお散歩と言うか……」

旅、だとは言わなかったが

澪なりのジョークなのか

本気なのかは分からないが、

桜鬼はこう続けた。

「私も一緒なんだよねー…

ねぇ、一緒に行かないかな?

……これから。」

一緒に旅をしないか、とは

言わずに澪の言葉に合わせて

桜鬼はそう言った。

少し戸惑った表情を見せたが

理解したらしく頷いた。

「よ、宜しくお願い致します……!」

深く礼をする澪に、桜鬼は

少しだけ礼をした。

「こちらこそ。」

そうして二人は門へと向かった。

「あれ、結李と幸?」

「結李さんと幸さん……?」

「あれ、知ってるの?」

「まぁ、顔見知り程度ですが……」

「私もそんな感じかな。

……なんか二人だけなのも

あれだし、話しかけてみる?

案外、一緒にお散歩する事に

なるかもしれないし!」

「大丈夫ですよ……?

ただ、どう話しかければ……」

「私に任せといてね!

……ねぇ、結李と幸?」

「……?なんだ、朝霧か……

どうかしたのか?」

振り向いた少女、鋭未 結李は

少し首を傾けた。

「あっ、朝霧さん……!

おはようございます〜」

笑顔で挨拶をしたのは癒知 幸。

「おはよう!ねぇ、どうしたの?

それに結李と幸が知り合いなのが

少し意外だけどさ」

「ま、まぁ……ちょっとした

目標があってな。

旅に出ようと……思って。

幸も同じような事を考えていたらしく

一緒に行く事になったんだ」

「へぇ……丁度ね、さっき

この子と会って。私達も

町を出る事にしたんだ。」

「そうか……って澪……!?

だ、大丈夫なのかっ!?」

「だ、大丈夫……ですよ?」

「あっ、澪ちゃん……!

お久しぶりです〜…!」

「幸さん、お久しぶりです…!」

「あ、名前聞いてなかった……けど

澪ちゃんで良いんだよね?

私は朝霧 桜鬼!」

「あっ、はい…!では、

桜鬼さんと呼ばせて戴きますね!」

「じゃ、澪って呼ぶ!」

「はい!」

そこで、結李が思い付いた。

「一緒に、旅をしても良いか?」

「あっ、私もしたいです……!」

「え?私も別に良いけど……澪は?」

「皆さんが良ければ…!」

「良かった……

二人だけでも良いのだが

何かと不便かと思ってなぁ」

「まぁ、色々とそうかもね」

「なら、門まで行くとするか!」

「うん!」

「そうですね…!」

「はい…!」

そして四人は門へと向かった。

一方その頃、夕日と夕里、

咲来と風雅と零の五人組も

門へと向かっていた。

そして……

五人組と四人組が

門の前で出会った。

「……は!?」

「……え!?」

「……ま、また会ったな……」

「……そ、そうだね……」

夕日と桜鬼は苦笑していた。

「あっれー?

ひーくんと、きーちゃん?

その他一同様は初めまして!」

「「大和!?」」

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