《MUMEI》 旅立ちと出会いまだ薄暗い朝。 赤髪の少年、紅魁 夕日は 町をふらりと歩いていた。 少年は、ふと空を見上げた。 「……あれ、あの桜色の髪は……」 少年が前を見ると 一人の少女が歩いていた。 「赤髪……?もしかして」 その少女、朝霧 桜鬼も 少年に同じく気づいた。 「噂の弓使いの……」 「最少年将軍の……」 「「何で此処に?」」 二人の声が揃う。 「……今日、此処を出るから。」 「……え、私も。」 二人供、どうやら旅に出るようだ。 「ま、じゃあな。」 「……じゃあね。」 二人は別の方向へ歩いていった。 「何だよ……あの女。」 少し溜め息をつけば、 夕日の見慣れた二人の少年の 後ろ姿が目に入った。 「……は?」 「……え?夕日……?」 黒髪の少年、黒魁 夕里は 目を見開いた。 「ま、まさか……」 夕里の隣に居た少年、鋭薙 咲来も 同時に気づいたらしい。 「……お前らも、なんてないよな」 「……そのまさか」 「……夕里に同じく」 言葉は無くとも、旅に出る者だと 夕里と咲来も悟った。 「……今日、旅に出る奴多すぎ」 夕日は溜め息を着いた。 「ねぇ、なんならさ」 咲来は笑顔で告げた。 「一緒に行く?……なんてね」 「……」 「……」 「あははー、駄目だよね」 「別に、構わないけど」 「夕日に同じく」 「えっ!?……じゃあ、 そうしよっか」 こうして三人は街を出ようと 門に向かって歩きだした。 「はぁ……」 「……明らかに彼奴だな」 「そうだね、夕日。 風切りの大鎌使いだね」 「夕日、咲来。まさか……」 「彼奴は誘うに限る、でしょっ」 「咲来!?まだ旅決定では 無さそうだぞ!?」 夕日の制止を降りきり、 咲来は青髪の少年、忌斬 風雅に 話しかけていた。 「……!?あれ、あなたは…… 薙刀の……!?」 「へぇ、君も僕を知ってるの? 僕も有名になったもんだねぇ…… じゃなくて。ねぇ、旅でもするの?」 「……旅より家出みたいな ものですがね。」 「へぇ。なら同行決定! 夕日、夕里、確保できたよー!」 「ちょっと待てよ咲来……!?」 慌てて二人は駆け寄った。 「咲来、お前なぁ…… 無理矢理にも程があんだろ」 「……忌斬。行く気が普通に あるならいいけどさ。大丈夫?」 「……ま、まぁ……そちらが 宜しければ御一緒したいなとは。」 「本当かよ……」 まさかの解答に驚いた夕日だが 納得したようだ。 「これで、四人か…… もっと増えるかな?」 「さぁな。……あれ? まさか、あの後ろ姿…… あの零じゃないよな」 「何処!?……あ、居た。 確保行ってくる!!」 「おい……!?」 「夕日、咲来は今だけ、ほっとこ。 止めるの面倒くさい……」 そんな二人の会話を 風雅は少し不思議そうに 見ていた。 「……何か御用でしょうか。」 「ねぇねぇ、今日から旅?」 「……あなたに知る由は全く 無いでしょう。」 「いやいや、あるって! ……これ言っちゃ悪いけど 殺し屋の君が何故に朝から町を ふらついてるわけ?旅だとしか 誰も思わないでしょ? それと、君。敬語は無用だよ?」 「……貴様になんざ 敬語を使いたくないが 最低限の礼儀だ。旅だが それが何だ?貴様に関係は無い。」 「それが、あるんだよねぇ。 一緒に行かないかなぁ? ま、嫌とは言わせないよっ」 「まず、答えを求めるのが普通だろ……」 「だって、絶対に嫌って言うから」 「いや、そうだが……じゃなくて!」 「はいはい、いいから行くよー。 もー、これで僕より年下なのが 意味分からない程に固い性格だね?」 半ば無理矢理に少年、冷月 零は 連れていかれていた。 「今は大人しくしてるし、 本当は行きたいんでしょ?」 笑顔で咲来は言った……が、 零には睨み付けられていた。 だが、うつ向いて小さく呟いた。 「……仕方ない、か」 「なーにか言った?」 「咲来が煩いんだろ」 「同意見。」 「……それはそうですよ」 「風雅まで!?」 そんな四人を零は少し楽しげに 見ていたが誰も気づかなかった。 前へ |次へ |
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