《MUMEI》

「ん?なに読んでるの

…花言葉?」

同じ寮の友達であるハリー。

彼はフレンドリーで、なかなか優しげな好青年だ。

なので、度々私はこの好青年に感心していた。


「そうだよ。花言葉」

答えると、彼は意外そうに ふーん、と鼻を鳴らした。


「なんだか、意外だな。

ぼく、君はそういうの興味ないって思ってたよ」


「あら、失礼なひとね。

私だって、素敵な花言葉を知りたいって思うこともあるんだよ」


「へー、そう。知らなかったな」




むっとして軽くにらむと、ハリーは愉快だとでも言う風に、

ふふふと笑った。


「ごめんごめん。

あ、じゃあさ、赤いバラの花言葉は、見たろ?」


「赤いバラ…何だったっけ」


「えっ、なにそれ、ほんとう。

君、そろそろおかしいぞ」


「えぇー…そんなこと言われても」




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