《MUMEI》 春花粉の飛ぶ季節だ。 鼻がむすむずしてクシャミがとまらない。ハックション!唾液が青いクマの顔にかかってしまった。「あ、ごめん」 「気にしないでください」 青いクマは少し嫌な顔をしたがすぐに笑顔を見せた。青いクマの傷も段々良くなって最近は一緒に買い物に行ったりもする。 つまり居候状態。 僕が仕事に行っている間、選択や部屋の掃除をしてくれている。 僕は青いクマに「クマジ」という名前をつけた。 青いクマはそれを気に入ってくれた。 「クマジっ」 「なに?」 「おーいクマジ」 「なに?」 僕が名前を呼ぶたびクマジは応えてくれる。 そんなささやかな幸せが。 「暖めたヤクルトつくってくれる?」クマジはつぶらな黒い瞳をうるませ僕に頼んだ。 「お安いごようさ! 何杯でもつくってあげるよ。 暖めたヤクルトは僕の曾祖母ちゃんがとても好きだった思いでの飲み物なんだよ」 「そっか。ぺっ」 青いクマは痰を吐いた。 これからもっとクマジの事を理解していきたい。 前へ |
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