《MUMEI》

家具がほとんど置いてないのだ。あるものと言えば、食卓机に洗濯機、冷蔵庫、それぐらいである。後はいくつかのダンボールが山積みになっているぐらいだ。

「本当にここに住んでいるのかよ」

俺は思ったことをそのまま口に出した。

真奈は俺のすぐ正面に立った。

−−距離が近すぎる………ほとんど体が触れているんじゃないかっていうぐらいの距離である。そんな距離で囁くように真奈は言った。

「ここで見たことは誰にも言わないで。石島君だけ特別なの」

俺は思わず後ずさった。

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