貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
方向転換。
「それでさ、あ…」

アキの部屋から、不意に軽快なメロディが流れて来た。

「ごめんごめん、携帯の音消すの忘れてた」

アキはそう云って、ヒョイと立ち上がり部屋に携帯を取りに行った。


わたしは二つのグラスの中身を確認して、冷蔵庫のアイスコーヒーを求めて立ち上がった。



「あれ、ないや…」

自室から携帯を持って出て来たアキと目が合う。

「どうした?」

「アイスコーヒー切らしちゃったよ。買い置きも無いみたい」


「そっか。じゃ、買い物行く?」

わたしが答えるより早く、アキは上着を取りに部屋へ戻った。

わたしも早足で部屋へと向かう。





話の続きはいつでも聞けるからいいや…って、ちょっと思ってた。


結局、アキの口からはこれ以上聞けずじまいだったね。

後悔先に立たず、だけど。

前へ |次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ