《MUMEI》
執事に…
「お嬢様…何故逃げようとするのですか?逃がしませんよ…」

私の可愛い…琴美お嬢様…
腕を掴まれベッドに押しつけられ、身動きのとれなくなった姿はとても興奮する。
もう我慢できなかった。
お嬢様の部屋から…お嬢様の喘ぎ声、他の男性…婚約者の喘ぎ声が聞こえてきて。
嫉妬に狂いそうになってしまった。
もう狂っているのだろうか…
いや、そんなはずはない。
私は狂ってなどいない…

「っ……主人命令っ…今すぐ退きなさい!」
「命令と言われましても…今回ばかりは聞いて差し上げることは出来ません…」
「…どうしてこんなことするの。オレには婚約者がいるんだよ?16になったから結婚も出来る。というか数日後には結婚も控えてる…お前だって、祝って…」
「祝う?そんなことする訳ないじゃないですか」

そういうと、お嬢様は目を見開く。
祝うわけないじゃないか。
狂おしいほど愛しい人が他の男のものになるなんて考えたくもない。

「な、なんで…聖斗なら祝ってくれるって信じてたのに…」
「……嗚呼…私の気持ちに気付いていなかったんですね…私は…私は!!」

怒鳴るとお嬢様は肩を跳ねさせる。
怖がらせてしまったか…

「っ…申し訳ございません。ですが、お嬢様がいけないのですからね」

長年そばにいた私よりも別の男を好きになるあなたがいけない。

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