《MUMEI》
別れ
トントン。
佐山が聖羅の部屋のドアを軽くノックした。「はぁ〜い?」とまた気怠い声がした。
ガチャとドアを開ける。「おぃ。なんで今日帰り遅かったんだよ。俺のパーティーなのに。」とふてくされる様に佐山がいった。
すると聖羅が「ごめんね…。彼がどうしても帰してくれなくて、今日は早く帰りたかったのに…。」と聖羅がいった。
「今日だけでなくて毎日早く帰ろよ。母さん達心配してたんだぞ。親の気持ちわかってやれよ。」と佐山がいった。「わかった。」聖羅は少し反省したのか表情が暗かった。
すると佐山が、「明日でこの家ともしばらくお別れか…。この家には沢山思い出があるから、少し寂しいよ。」といった…。切ない表情だった。
聖羅がボソッと小さな声で、「……ないで。」といったのが聞こえた。佐山は聞き取れず、「え?」と言うと、「行かないで!」と聖羅がいっていたのがやっとわかった。
「行かないでって、急にどうしたんだよ?大学合格した時には全然興味なさそうにしてたのに。」と佐山。

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