《MUMEI》
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警視庁捜査一課は、いくつもの事件を抱えており、この性犯罪事件に関しては、4人のメンバーが当たることになった。

係長の重本瀧文は48歳のベテラン。

33歳の福三新治が補佐する。

性犯罪事件ということで、被害者から話を聞く時は女性警察官も必要なので、二人の女性刑事が加わった。

22歳の同期二人、紅原明と岸枝茉優だ。

アキラは159センチで、肩にかからないほどの短めの黒髪。

やや童顔で22歳よりも下に見られるが、なかなかスリムでセクシーな美ボディなのだ。

マユは160センチ。彼女も髪は短く、肩にやや触れるほどで、少し染めている。

二人とも強気な性格で、日頃から格闘技の訓練も怠らない。



被害者からは話が聞けないので目撃者を探したが、肝心要の服を脱がされたところは、誰も見ていなかった。

「どうしてあんな人通りが多い場所で、誰も気づかなかったんだ?」重本が首をかしげる。

「別の場所で裸にして、車から下ろしたんですかねえ?」

ところが、被害者の女性が何分も前からその場所にいて、スマホを操作していたことを証言する者が何人もいたのだ。

美人でスタイル抜群で、見事な美脚を披露していた彼女を、その場にいた男性はよく覚えていた。

そこへ、鑑識が防犯カメラの映像を持ってきた。

「よし、見てみよう」

皆で画面に見入る。

被害者の女性、績中まおみの姿があった。

「やっぱり最初からいたんだ」

そこへ、太った眼鏡の男が近づき、何やら会話を始めた。

皆は真剣な表情で画面を直視し、瞬きも忘れている。

口論しているようにも見える。まさかこの男が犯人なのか。

男は笑顔のまま二歩三歩と下がると、両手を出して何かを言いながら両手を同時に回した。

次の瞬間、彼女は全裸になり、叫びながらしゃがみ込む。

「何?」

「飛んだ」

「巻き戻せ」

福三が巻き戻し、もう一度見てみたが、やはり一瞬にして彼女は全裸にされている。

「どういうことだ?」

「犯人は・・・・・・魔法使い」

「ふざけないで」茉優が福三を睨む。「編集されてるのよ」

「防犯カメラを編集できる人間といったら」明が言う。「警察関係者?」

「まさか内部の犯行か?」重本が顔をしかめる。

「警察内部の犯行じゃないとすると、犯人はハッカー」茉優も暗い顔で俯いた。

「ハッキングでそんなことができるのか?」

「でも、裸にされたところが完全にカットされてますよ」

重本は腕組みして考えた。

「待て、そんなことができるなら、どうして犯人は自分の姿を残したままなんだ」

現段階では、この眼鏡の男が容疑者の有力候補だが、確かに防犯カメラを編集するならば、全部消せばいい。

謎が残る。ではこの男は関係ないのか。



明は、何回も防犯カメラを繰り返し見ていた。茉優が画面を見ながら声をかける。

「何かわかった?」

「彼女、自分の体を見てから、きゃあああって感じでしゃがみ込んでるんだよね」

「それで?」

「どう見てもカットしているようには見えないんだけど」

「じゃあ、福三さんが言うように犯人は魔法使いだって言うの?」

「そうは言わないけど」

「彼女が話せるようになれば、犯人の顔を見てるわけだから。それに、全裸にされた経緯もわかるでしょう」

ただ、同じ女性としてショックの大きさもわかる。

あんな大勢が集まる場所で全裸にされたら、その恥ずかしさは精神が崩壊してもおかしくないほどだ。

しかも現場に服も下着も残っていないということは、犯人が全部持ち去ったのだ。

裸を隠すものがない状態で置き去りにされたら、女はアウトだ。

「こんな卑劣な犯人は、絶対に許さない」

「もちろんよ」

明と茉優の瞳は燃えた。

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