《MUMEI》 8しかし二人の女は結菜の下着上下を脱がしにかかる。 「やめてください、ちょっと、やめて!」 このままでは全裸にされてしまう。それは困る。 「お願いやめてください!」 「こらあ、やめなさい!」 番台から怒鳴った緒方は、振り向く二人の女性客に怖い顔で言った。 「出て行きなさいその二人」 「けっ」 二人はムッとした表情で出口に向かって歩く。 「お金返すよ」 「いらねえよ!」 二人は怒鳴ると出て行った。 こういうことをされると、本当に気分を害する。結菜は泣きそうな顔をしていたが、下着姿のまま番台まで歩いた。 「ありがとうございます、助かりました」 「大丈夫?」 「はい。怖かったあ」結菜は両手で自分の肩を抱く。「もう、何なのよう」 嫌なことがあったのですぐに帰ろうと、結菜は急いで服を着て出て行こうとするが、緒方が言った。 「さっきの二人、待ち伏せなんかしてないよな」 「嘘、ヤダ、怖い」 「見てあげる」 緒方は番台から下りると、銭湯の外に出て、さっきの女二人がいないかを見た。 「いないみたいだね」 「ありがとうございます」 「タクシー呼ぶ?」 「いえ、大丈夫です」 「気をつけてね。もしもいたら、すぐに戻ってきな」 「はい、ありがとうございます」 結菜のかわいい笑顔を見て、緒方は腕組み首振りポーズ。 「いい子だなあ」 結菜は警戒しながら、人通りのない夜道を歩いた。 地面が比較的すべすべの商店街を通った時、後ろから声が。 「おい、露出狂」 「え?」 怯えた表情で振り向く結菜。やはりさっきの不良二人だ。 「テメー、番台に自分の裸見せてたんだろう」 「違います、あたし、そんな女じゃありません」 「嘘こけ」 「そんなに裸見せたいならよう、この場で真っ裸にしてやるよ」 二人が迫って来る。結菜は足がすくんだ。 「やめてください、やめて!」 力で服を脱がしにかかる。 「大きい声出しますよ」 「いいよ出しても。人が集まって来る時はおまえは素っ裸だかんな」 それは困る。 「お願いです、やめてください、同じ女性ならわかりますよね、こんなところで全裸にされたらアウトだって」 「アウトにしてやるよ」 「赤っ恥かかせてあげる」 二人が危ない笑顔で面白がるように結菜の服を脱がし、抵抗するとボディーに膝蹴り。 「あう・・・」 怯んだ隙に一気に服を脱がし、下着姿にしてしまった。 「やめて、下着はやめて、下着は許して・・・きゃあああああ!」 とうとう全裸にされてしまった。 「じゃあ、服全部持って行くからなあ」 「待って、返して」 全裸の結菜は、赤面した顔で懇願する。 「お願い、服を持って行くのだけは許して」 「もちろん服は持って行くよ」 「やめて、やめて」 「真っ裸で置き去りにしてやるよ」 それをやられたら女は終わりだ。服だけは返してもらうしかない。 「お願いです、警察には言いませんから服を返してください。警察に発見されたら本当のことを喋るしかなくなっちゃいますよ」 「返してほしいか?」 「返してください」 「じゃあ返してやるよ」と、結菜の背後に回り、タンクトップで彼女の両手首を拘束する。 「あああ、何をするんですか!」 「服を返してやったぜ」 「ほどいてください、困ります」 後ろ手に両手首を拘束されたら、自力でほどくのは無理だ。これはほどいてもらうしかない。 「お願いです、ほどいてください」 「うるせえ」 ショートパンツや下着は置いたまま、女二人は走り去ろうとしたが、眼鏡をかけた中年の男が立っていた。 「ダメでしょう、そういうことしちゃあ」 「何だよテメー」 「嘘・・・」結菜は目を見開いた。 連続全裸置き去り事件の犯人だ。 「どけよ」 「ぐふふふ」田口貫平はポーズを取って叫ぶ。「罪悪感ゼロ!」 「はあ?」 「ちちんぷいぷいスッポンポン!」 二人同時に一瞬にして全裸にされてしまった。 「え?」 「ぎゃあああああ!」 二人は真っ赤な顔でしゃがみ込み、目の前に起こった現実に思考が追いつかない。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |