《MUMEI》
妹の思い
佐山は口をぽっかり開いたままで、唖然として部屋に立っていた。「聖羅…お前冗談だろ?」と信じられない告白に戸惑っていた。
「冗談でこんな事言うわけないでしょ?!本当だょ。」と聖羅がいった。その瞳にはうっすらと涙がたまっていた。
佐山は何も言えなかった。
「でも、私の思いは伝えられないし、お兄ちゃんとなんて付き合えないから…だから他の男と付き合ったりしたのよ。まあ、お兄ちゃんにいってもお兄ちゃんに責任がある訳じゃないからね。」
驚いた。さっき注意した男遊びの原因が自分だなんて思いもよらない事実だった。
「そんな…お前…。」ずっと自分が聖羅を傷付けていたなんて…。知らなかった。
すると聖羅は泣き出した。でも佐山は何も言えなかった。
ただ一つ出来たのは聖羅を抱き締めてあげる事だけだった。
「ごめんな、ごめんな聖羅…。」自分が憎くてたまらない。
黙ってコクンとうなずく聖羅…。2人には今までにない優しい時間が流れていた。
そして佐山はゆっくりと聖羅の唇に自分の唇を合わせる…。
今夜だけの2人の秘密。

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