《MUMEI》
素っ裸にされた美人刑事 1
(きょうも、楽しい美女狩りだあ、美女狩り美女狩り、美女狩りだあ)

夜の新宿歌舞伎町に来た田口貫平。

ものすごい人だ。ネオンも両側に眩しいほど。ここで全裸置き去りにされた女の子は気の毒だと思った。

(ぐふふふ。だから標的は悪い子じゃないとね)

コバカにされやすいように、わざとチェックの長袖シャツをジーパンにインする田口貫平。

彼の目の前を、短パンの女性が歩く。

(お、美女発見)

見事な美脚だ。しかも思いきりへそ出しルックで、顔もかわいい。

(美脚・美ボディフェチの僕の前でヘソ出しルック&ナマアシ披露とは、この場で全裸にしてもOKという大義名分完了)

田口は、女性に近づき、声をかける。

「そこのオネーサン」

「はっ?」早くも嫌そうな顔をしてくれる。

「僕とカラオケでも行かないかい」

「はあ?」露骨にコバカにした顔をすると、彼女は嘲笑を浮かべる。「もしかしてナンパのつもり、その顔で」

「おっと、言ってはならない最後の言葉を、いとも簡単に言いましたね」

「あんた、家に鏡ある?」

もう迷いはない。田口は怪しい笑顔でポーズを取る。

「罪悪感ゼロ!」

「何言ってんの」

「君みたいに理由もなく男をコバカにするおなごは、一度痛い目見たほうがいいね」

田口が両手を出して回す。「ちちんぷいぷい・・・」

すると彼女はいきなり田口の顔面にハイキック!

「があああ!」

不意打ちに両手をついて四つん這いになる田口の後頭部に踵落とし!

「NO!」

うつ伏せに倒れ込む田口に、彼女は怖い顔で言い放つ。

「被害に遭った女性の心の痛みはこんなもんじゃないわよ」

「え?」

彼女は手錠を出した。

「強制わいせつの容疑で逮捕する」

「うにょ」

茉優は田口の腕を取り、手首に手錠をかけたはずが、手錠は自分の両手首を後ろ手に拘束していた。

「え?」あり得ない状況に焦る茉優。

「よくもやってくれたね。ちちんぷいぷい」

「やめろ!」

「スッポンポン!」

「あああああ!」

茉優は全裸にされてしまい、その場にしゃがみ込んだ。

「貴様!」と叫びながら明が走って来て、逃げようとする田口の背中にジャンプしてキック!

「どおおお!」

前のめりに倒れ込み、両手をついて起き上がろうとする田口の顔面めがけて背後から明がキック!

「がっ・・・」

鼻に入った。かなり痛かったが、田口は立ち上がって逃げる。

「待て!」明が追う。

福三新治と重本瀧文は茉優の手錠を外し、上着を着せると、すぐに田口を追いかける。

「明は茉優を頼む」

「はい」

明は裸の茉優を庇う。

「大丈夫?」

「悔しい・・・」

重本と福三も戻ってきた。

「逃げられたというか、消えた」

やはり普通の人間ではない。茉優も自分が一瞬にして全裸にされたことで、戸惑いを隠せない。

それは明たちも同じで、間違いなく魔法のように一瞬にして茉優を全裸にしてしまった。

明は顔をしかめる。

(こんな犯人、どうやって捕まえるの)



明はマンションに帰宅し、パソコンを開けた。

マジシャンが過去にこのような事件を起こしたことがないかを調べようと思った。

ところが、パソコン画面には、田口貫平の笑顔が映し出される。

「おはよう、アキラ君」

「わあああああ!」

「いいリアクションだ」

「あなたはいったい・・・」明は絶句した。もはやマジシャンの域を完全に超えている。

「僕の名前は田口貫平」

「たぐち、かんぺい」明は会話した。「あなたは何者なの?」

「エスパーだよ」

初めて本当の答えを聞いた気がした。エスパーというのは、全く考えもしなかった。

「エスパー・・・」

「さて、明ちゃんにはいいものを見せてあげる」

田口がそう言うと、今度はパソコンの画面に若い女性が全裸でX字型に磔にされている動画が映し出された。

「あ、結菜ちゃん!」明は顔面蒼白になった。3人目の被害者の結菜ではないか。

「今からこの子の裸体を新宿アルタの大型ビジョンに映し出します!」

明は血相変えて目を見開くと、叫んだ。

「バカやめなさい!」

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