《MUMEI》
2
「バカやめなさい? 命令口調ならもうやめる気はないよん。究極の赤っ恥羞恥プレイまであと5秒。4・・・」

「ちょっと、そんなことしたら精神が崩壊しちゃう」

「3」

「自殺しちゃうわよ、いいの」

「2」

「わかったやめて、やめてください田口さん、この通り頭を下げます」

「1」

「やめてください、要望は何ですか、言う通りにしますから」

「言う通りにするって本当?」怪しい笑顔。

「・・・はい」

「じゃあ明ちゃん。一人で来れる?」

刑事だって女だ。明は緊張の面持ちになりながらも、人質の身の安全が最優先という警察の基本に立つ。

「どこへ行けばいいですか」

「もちろん丸腰だよ」

「はい」

「仲間の刑事の姿が一人でも見えたら、結菜ちゃんのかわいい全裸は、大衆の面前に晒されることになるよん」

明は低姿勢で訴えた。

「田口さん、それだけはやめてください。丸腰で一人で行きますから。本当に精神が崩壊しちゃいますよ。まだ19歳ですよ。そんな残酷なことはしませんよね」

明の態度に気を良くした田口は、勝ち誇ったような笑顔で言う。

「わかった。どうやら君はいい子のようだ。じゃあ、明ちゃんが到着するまでは、アルタの刑は待ってあげよう」

「お願いします」

あの大型ビジョンはいつも大勢の人が見ているのだ。そんな大画面に全裸を晒し者にされたら。

まさか、そこまで残忍なことはしないと思うが、この男だけはわからない。

現に何人もの女性を晒し者にしている犯人だ。

明はアジトの場所を聞くと、約束通り仲間には連絡せずに、一人で、丸腰で向かった。

今は結菜を助けることが最優先だ。自分の身の危険を考えると、胸が締めつけられるほど恐怖感も感じるが、話が通じないケダモノではなく、人間なのだ。

言う通りにしているのに、理不尽に酷いことはされないだろうと、自分を励ました。



「あたしにアジトの場所を教えるなんて。でも罠かも」

暗く広い倉庫に、明は入った。今は使っていないようだ。

「明ちゃん」

上から声がしたので見上げると、田口貫平が笑顔で立っていた。

「階段で上がって来な。いいものを見せてあげるから」

明は言われた通り、階段で2階に上がる。彼女は丸腰だということを強調するように、Tシャツにジーパンにスニーカーというラフな格好だ。

「あっ!」

2階に上がると、スクリーンに全裸の結菜が映し出されていた。

細長い台の上に寝かされていて、両手両足を拘束されている。

「結菜ちゃん!」

「んんん」猿轡を咬まされている結菜が、泣き顔でもがいている。

「さあ、明ちゃん。スタンガンや銃や手錠は全部出しな」

「約束通り丸腰よ」

「警察は信用できない。身体検査を行います。服を全部脱ぎなさい」

どうせ裸にすることが目的で、身体検査など嘘だ。

「お断りします」

「じゃあ、結菜ちゃんはこういう目に遭うよ」

結菜が拘束されている台が真っ二つに折れ曲がり、彼女は逆エビ反りになり、叫ぶ。

「んんん、んんん、んんん!」

「わかったやめて、脱ぐから、脱ぐから」

マシーンは止まった。

卑怯なことをする。自分が拷問されるよりも言うことを聞いてしまう。

全裸の結菜は神妙にしていた。ヘタしたら背骨が折れる。

明は仕方なくスニーカーを脱ぎ、ジーパンを脱ぐ。

「クックック」

一瞬で全裸にできるのに、あえて本人に脱がせる。そのほうが興奮度が高いからだ。

明はTシャツも脱ぎ、セクシーなピンクの下着姿を晒した。

「かわいい!」田口は感激した。「明ちゃんそれは勝負下着?」

明が黙っていると、脅す。

「シカトするなら結菜ちゃんの絶叫を聞くことになるよん」

「待って」下着姿で裸足の明は、両手を出した。「違います」

「でもさあ、裸にされる可能性は十分考えられるのに、ピンクの下着で来るというのはさあ」

「着替えずに急いで来ただけです」

「じゃあ、いつも下着はピンクが多いんだ」

「たまたまです」

「ほかにはどんな色を持ってるの」

悔しいけど答えるしかない。

「水色や白」

「セクスイ」

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