《MUMEI》
3
明はブラジャーをいじりながら、田口を無言で見つめる。

「そんなに結菜ちゃんの悲鳴が聞きたい?」

「武人の情けです。下着は勘弁してください」

「だーめ」

「だって」明は両手を広げた。「見れば丸腰だってわかるでしょう」

「下着に小型マイクをつけているかもしれない。警察は油断ならないからね」

「裸は恥ずかしいです。許してください」

すると、また台が動き、結菜が悲鳴を上げる。

「んんんんん、んんんんん!」

「わかった脱ぐからやめて、脱ぐからやめて」

マシーンが止まり、結菜は両目を閉じて息を乱す。

明は顔を赤くしてブラジャーを取り、最後の一枚も片足から抜き取った。

下着を床に置くと、胸と股を手で隠す。そのセクシーポーズを満面笑顔でながめていた田口は、意地悪を言う。

「両手は頭の後ろへ」

「嘘」

「本当」

「容赦ないんですね」

「容赦なんかしないよ」

結菜がかなり逆エビ反りにされている。あれ以上は危険だ。明は人質を守るために、両手を頭の後ろに組み、全部を晒した。

(悔しい・・・)

「かわいい。美しい。君は素晴らしいよ」

犯人に全裸を見られるのは女性警察官として屈辱的だ。

「ではでは、これから楽しいひとときを送ろうね」

スクリーンが消えた。

「彼女を解放して」

「自分の心配をしな。明ちゃんだって女の子なんだから」

たまらない緊張感だ。いったい何をされるのか。

「ちちんぷいぷい大の字拘束!」

「え、あああああ!」

床に仰向けに寝かされ、手枷足枷でガッチリと大の字に拘束されてしまった。

「あ、あああああ」

両手はバンザイで、両脚が大股開きの屈辱的ポーズだ。

明は激しくもがき、手足に力を入れて自力でほどこうとするが、無理だとわかると、弱気なかわいい目で田口を見る。

「いいね、いいね、なかなかいいよ。期待通りのリクアション」

「え?」

「だってさあ、刑事だって女の子だからね。真っ裸で大の字拘束で完全無抵抗って、結構スリル満点でしょう」

スリルどころではない。怖いに決まっている。

「誇り高き女刑事が大切な体を憎き犯人の目の前に投げ出している。最高に興奮するシチュエーションだと思わない?」

「・・・・・・」

「胸のドキドキが止まらないでしょう」

「ほどいてください」

「せっかく縛ったのにほどくわけないでしょう」

田口の言う通り、明は胸のドキドキが止まらない。

「あたしを、どうするつもりですか?」

「さあ、どうしよう。いきなり犯しちゃおうかな」

「待ってください」

レイプだけはどんなことがあっても許してもらうしかない。女性警察官にとって、犯人の男に体を奪われてしまうのは耐え難い恥辱だ。

「明ちゃん」

「はい」

田口は味わうように、明のおなかを触る。

「お願いです、触らないでください」

「いいでしょう、おなかくらい」

「ダメです」

「じゃあ胸を触るよ」

「あああああ!」

左右の胸を触ると、今度は容赦なく股を弄る。

「あああああ! やめてください、やめてください、屈辱です」

「屈辱?」と股を弄る。

「屈辱です、許してください」

田口は笑うと、おなかを触る。

「はあ、はあ、はあ・・・」

(悔しい・・・)

悔しいけど逆らえない。全裸で無抵抗なのだ。生意気な態度は禁物だ。

「明ちゃん。よくもあの時、背中を蹴った挙句、顔面まで蹴ってくれたね」

(嘘、どうしよう)

「謝りな」危ない笑顔で迫る。

ここは仕方ない。謝らなければ何をされるかわからない。

「ごめんなさい」

「ごめんなさい、それから」

「許してください」

「許さないって言ったらどうする。凄く痛かったよ」

「どうしたら許していただけますか?」

「同じように痛い目に遭ったら許してあげる」

いよいよ危険だ。明は泣くのを堪えた。

「でもそれって、許したことにはならないんじゃないですか」

「でもさあ、明ちゃんみたいな誇り高き正義のヒロインがギャーギャー泣き叫ぶ姿って、とても興奮するんだよね」

追い込まれた。明は不安な顔色で身じろぎする。

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