《MUMEI》
7
無抵抗なのをいいことに、田口は明の全身をタオルで拭く。

「やめてください、自分でやりますからほどいてください」

身じろぎしながら哀願する明がかわいくてたまらない田口は、彼女の両腕両脚をゆっくり拭き、おなかや背中を入念に拭き、お尻と股を同時にゴシゴシする。

「ちょっとやめてください」

「感度良好?」

「やめてください」

「感度良好?」

「お願いやめて」と明は振り向いて田口を睨む。

「ココ気持ちいいの?」

「そこまで辱める必要がありますか?」

「おやあ?」田口は待ってましたとばかり、満面笑顔だ。「何かなその生意気な態度は」

「やめてほしいからやめてくださいと必死にお願いしてるのに、やめてくれないからでしょ」

明の泣きそうな顔に良心をくすぐられた田口は、タオルを彼女の体から放した。

「そう怒るでない。ほどいてあげるから」

「・・・・・・」甘く唇を噛む明。

「でもほどいた瞬間に延髄斬りでしょ」

「そんなことしません」

「闘って負けたヒロインは、残酷な拷問しか待ってないよ」

「ですから、刃向かったりしませんから、ほどいてください」

明の低姿勢に田口はほくそ笑む。

「よし、じゃあ一旦休憩しよう」

「休憩?」

田口はあっさり明の手足をほどくと、「さあ来い」と両拳を上げる。

「だから刃向かいません。あなたの怖さは十分わかりましたから」

「嘘、僕は怖くないよ、優しいでしょう」

「はい、優しいです」そう答えるしかない。



明は別室に連れて行かれた。全裸では落ち着かないだろうと白いバスローブをくれた。

部屋の端には白い丸テーブルがあり、明はイスにすわるように命じられた。

「明ちゃんはワインが好きかい?」

「まあ、はい」

「よし、ワインで乾杯しよう」

田口は嬉しそうにワイングラスを二つ持ってくると、明のグラスにワインを注いだ。

田口は真顔で待っている。明は仕方なく注いであげる。

「お、嬉しいね、美女に注がれるとうまさ倍増」

明は、テレビの食事マナーで、ワイングラスをカチンとぶつけるのはNGと言っていたことを思い出し、田口の顔を見ながらグラスを傾けた。

田口もマナーを知っているのかどうかはわからないが、グラスをぶつけることはしなかった。

明がひと口だけ飲んでワイングラスをテーブルに置くと、田口が催促する。

「まさか眠り薬が入ってると思ってる?」

「まさか」

「じゃあ、僕を信じてる証しに全部飲みほしな」

田口は眠らせようと思えば簡単にできるエスパーだ。そう思い、明はワインを飲みほした。

「・・・・・・え?」

全身の力が抜け、手足が痺れた感じになる。

「ちょっと・・・これは・・・」

イスにすわっていられなくなった明は、床に両手をつきながらイスから転げ落ち、床に倒れた。

「クックック、意識はあるのに体が言うことを聞かないって悔しいでしょう」

「・・・やめて」

「まだ何もしてないよ」

田口はバスローブを剥がし、明を素っ裸にすると、抱きかかえた。

「犯人にお姫様抱っこされたら女刑事失格でしょう」

悔しいけど体に力が入らない。

田口は全裸の明を抱きかかえたまま、部屋の端に移動する。そこには見覚えのある台があった。

「あっ」

「気づいたかな明ちゃん。結菜ちゃんが逆エビ反りで泣き叫んだ拷問台だよん」

「やめて」

明の哀願もむなしく、田口は彼女を台に仰向けに寝かせ、両手両足を拘束する。

「やめて、お願いやめて、あたしそんなに体柔らかくないから」

「それは拷問する側としては好都合だ」

怪しい笑顔の田口は操作する。台は折り曲がり、明を逆エビ反りにして苦しめる。

「あああ、やめて、痛い、イタタタタタタ!」

明が泣き顔で叫んだので、一旦止めた。

「やめて、お願いやめて」

「降参?」

「降参です」即答するしかなかった。

全裸美女が逆エビ反りにされている光景は、興奮ものだ。田口は明のセクシーな美ボディを触ると、聞いた。

「ところで明ちゃん。新宿で僕を蹴りまくったもう一人の女刑事がいたよね。彼女の名前を教えて」

(嘘・・・)

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