《MUMEI》
9
「何?」

結菜の股に装着してあった電マが動き出し、結菜は身じろぎする。

「んんんんん、んんんんん!」

仕掛けがしてあったとは。

電マの先端はギザギザになっており、スイッチの威力は最強になっている。これは女の子には耐えられない。

「んんん、んんん、んんん!」

男たちに全裸を見られることがへっちゃらな結菜でも、電マで股を責められて乱れる姿を晒すのは我慢できないほど恥ずかしい。

重本は手足をほどく前に電マを取り外そうと手を伸ばす。すると、今度は何かが作動した。

「え?」

「係長、爆弾です!」

「何!」

結菜の股の下に小型爆弾がセットされていて、それがいきなり作動しはじめた。

重本は咄嗟に遠ざかる。

「んんん、んんん!」

電マで責められて昇天寸前に追い込まれる恥ずかしさと、股の真下に小型爆弾がある恐怖で、結菜は両目を真っ赤に腫らしている。

「爆弾処理班を呼べ、大至急だ」

「はい」

「んんん、んんん」

(嘘、ダメ、耐えられない、どうしよう)

激しくもがく全裸の結菜は、腰を色っぽく動かし、くねらせ、顎を上げる。

(ヤダヤダヤダヤダヤダ、見ないで・・・・・・)

イカされてしまった。

息を乱す結菜だが、電マは無情。昇天直後の敏感な股に容赦なく激しい振動が襲いかかる。

「んんんんん!」

結菜は裸が平気と悟った田口は、女の子にとって絶対に人に見られたくない「イク瞬間」を、男の刑事たちに見せようと思ったのか。

どこまで悪趣味なのか。

爆弾が作動している以上、重本は彼女から目を放すことはできない。

だから自然に裸が目に入ってしまう。

(これは仕方ないことだ)

重本は自分に言い聞かせ、爆発物処理班の到着を待った。

「絶対に助けますから、頑張ってください」

「んんんんん!」

返事をしたいけどギザギザ電マで股を責められてはどうにもならない。

でもこの刑事たちに助けてもらう以外に、この苦境から脱する方法はない。

「よーし!」

太い声が聞こえた。爆発物処理班の登場だ。

班長の岩重は重本と同期。彼は班員に言った。

「これが済んだら焼肉にビールだぞ!」

「オオオオオ!」

気合を入れる爆発物処理班だが、結菜のあまりにも美しい裸体を見て、目を見開く。

「おっとう」

「止められるか?」重本の額に汗が光る。

「関係者以外は外に出てろ」

「俺はここにいる」

岩重は種類を見極めようと小型爆弾を見る。

「んんん、んんん」

結菜はまだ電マで責められて腰をくねらせているから、死ぬほど恥ずかしい。

「んんん、んんん」

(早く、早く・・・)

早くしないと昇天してしまう。この至近距離でイク瞬間を見られるのは困る。乙女のピンチだ。

「ふー、ふざけた犯人だ」

岩重はそう呟くと、電マを取り外した。

「んんん・・・」

結菜は顎を上げ、両目を閉じる。昇天寸前に追い込まれていたが、何とか耐えた。

平気で小型爆弾を取り外す岩重を見て、重本は驚いた顔で聞く。

「おい、大丈夫なのか?」

「オモチャだ」

「何!」

重本は顔をしかめた。田口は始めから彼女を爆破しようとなんて思っていなかったのだ。

爆発物処理班が見ればすぐにオモチャと見破れるシロモノでも、素人には本物と偽物の区別はできない。

目的は結菜に赤っ恥をかかせることか。

「何て男だ」



結菜は後ろに控えていた女性警察官に手足をほどかれ、毛布にくるまる。

「救急車が来てるから行きましょう」

「待ってください」

オレンジ色の毛布にくるまわれている全裸の結菜は、向き直ると、重本や岩重たちに頭を下げた。

「助けていただいてありがとうございます」

「あ、ああ」

結菜は顔を紅潮させて、「恥ずかしいところを見られてしまいましたけど」

「見てない見てない」重本が即答した。

「では」

もう一度頭を下げると、結菜は女性警察官二人に付き添われて、部屋を出た。

あれほど恥ずかしい目に遭ったのに、結菜がしっかりした話し方だったので、皆安堵した。

安堵以上に感心してしまった。

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