《MUMEI》
3
「んんん・・・」

茉優は全裸のまま両手両足を大の字に拘束されていた。

彼女は大きな作業台の上に寝かされている。

「んんん・・・・・・ハッ!」

目を覚ました茉優は、自分の格好を見て、最初は焦った顔で身じろぎしたが、手枷足枷で拘束されては自力で外すのは無理と悟り、天井を見上げて深呼吸した。

「お目覚めかな、お姫様」

「女を無防備にしないと何もできないのね、この意気地なし」

「おっとう、スッポンポンで無抵抗なのにこの強気。さすがは刑事と褒めてあげたいところだけど、君は犯人の武人の情けで技を解いてもらったんだよ」

「あんな技、痛くもかゆくもないわ」

「そういう嘘を言ったらダメだと茉優ちゃん」

「気安く名前を呼ぶな変態」

田口はほくそ笑む。

「よく言うよ。泣き顔で、降参とは口にできないからそこは察してくださいって目で僕を見つめていたでしょ」

「頭だけじゃなくて目も悪いんだ」

「おやあ」怪しい笑顔。

「今すぐ手足をほどきなさい。そうすれば命までは取らないであげる。もうすぐここに警官隊が来るわよ。もしもあたしのこの格好を見たら、あんたは普通の人間じゃないから狙撃班に射殺されるでしょうね」

「・・・・・・」

「聞こえなかったの。耳も悪いの。顔は悪い、頭悪い、目も悪い、耳も悪い、そこへ持ってきて変態じゃ、死んだほうがマシじゃないの」

田口は笑顔で首を左右に振ると、言った。

「なるほど、君はドMか」

「くだらないこと言ってないで早くほどきなさい!」

「わざと僕を怒らせて酷い拷問をしてほしいんだね」

「くだらない。バカ丸出し発言」

「そうか、エッチな拷問じゃ物足りないから痛い目に遭わせてほしいのか。だから足の4字固めにも耐えられた。ドMだから」

「それ以上くだらないこと喋るなら殺すぞ」

睨む茉優に、田口は笑顔を向ける。

「殺すか。じゃあ、殺される前に殺しちゃおうかな」

「え?」

「君は生意気なことを言う前に自分がなぜ作業台に寝かされているかを考えるべきだったね」

そう言うと田口は、「ジャーン」とブルーシートを取った。それは巨大な電気ノコギリだった。

「ちょっと、何よ」焦る茉優。

ちょうど茉優の両脚が電気ノコギリの刃に向いているのだ。彼女の両脚は大きく開かれて拘束されているから、股の先に刃がある。

「スイッチオン」

電気ノコギリが回転を始めた。茉優は身じろぎする。

「待ちなさいよ、何をする気?」

「クックック。三途の川が見えたら教えて」

田口が操作すると、高速回転する電気ノコギリの巨大な刃はそのままで、茉優が寝かされている台のほうが動き、彼女の股が刃に近づいて行く。

「ちょっと、洒落にならないわよ、やめなさいよ」

「僕を罵ったことを後悔しながらあの世へ行きなさい」

(嘘、どうしよう)

まさか本気なのか。

「やめなさいよ、死刑になるわよ」

「何か言い遺すことはないかな」

「待ちなさいって、ちゃんと話し合いましょう」

「今のうちに家族や大切な人にさよならを言いな」

いよいよ茉優の股は刃に近づいて行く。

「わかった待って!」

「何がわかったのかな」

「言い過ぎました、謝ります、ごめんなさい、止めてください」

「止めないよ」

「やめてください」

「やめないよ。君は言い過ぎた。もう絶対に許さない。素っ裸のまま真っ二つにしてあげるん」

「ヤダヤダやめて」茉優はプライドを捨てて叫んだ。「お願いやめて、許して、あああ、危ない、早く止めて」

「だから止めないって」

残り5センチ。

「あああ、あああ、お願い許して、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい許して!」

ノコギリは回転したままだが、茉優のほうが止まった。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・・」

汗をびっしょりかいて、両目を真っ赤に腫らしている茉優がかわいい。

「はあ、はあ、はあ・・・」

あれほど強気で生意気だった茉優が弱気丸出しの目で見つめてくる。

「クックック、これだから拷問プレイはやめられないのらあ!」とポーズ。

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