《MUMEI》
4
「はあ、はあ、はあ・・・」

両目から涙を溢れさせる茉優に、田口は冷酷な笑顔を向ける。

「茉優タン。断末魔の絶叫を僕に聞かせて」

「待ってください田口さん」

「名前なんか呼んでも無駄だよ」

「どうしたら許していただけますか?」

「絶対に許さないよ」

「え、何で」

「じゃあ死刑囚が死刑執行の時に命乞いしたら君ら警察は許すの?」

「それは・・・」

「さあ、最後に僕に断末魔の哀願を聞かせな」

「お願いやめて、許して、何でも言うこと聞きますから」

「ダメー!」

あと5センチというのに、再び茉優の下の台が刃に向かって動き出す。

「あああ、やめて、お願い許して! いやあああああ! こんな残酷なことはやめて!」

残り1センチ。茉優は泣き叫んだ。

「やめてええええええええええ!」

止まった。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・・」

息を乱しながら茉優が見つめる。田口は勝ち誇った。

「降参?」

「降参です、やめてください、許してください。許してくださったら一生恩に着ます」

「嘘がヘタだね」

「嘘じゃありません」

田口は茉優のセクシーな美ボディを触りまくり、胸も触る。

文句一つ言わない茉優に僅かな良心がくすぐられた。

「許してほしい?」

「許してください!」

「じゃあ、何でも言うこと聞く?」

「聞きます」

「女刑事が犯人に何でも言うこと聞くなんて約束してもいいのかな」

「・・・命を取られてしまったら、意味ないから」

尊敬の眼差しで見つめてくる茉優に、田口は満面笑顔だ。

「じゃあ、何でも言うこと聞いてもらうよ」

茉優は唇を噛む。ここは従うしかない。電気ノコギリが股に直撃なんて、想像しただけで恐怖のどん底だ。

警察官として犯人に屈服するのは悔しいし情けないが、仕方がない。



明は帰宅すると、バスルームに入り、シャワーを浴びた。

シャワーを止めると、何気なく曇った鏡を見る。そこへ田口の顔面が映し出された。

「おはよう、アキラ君」

「わああああああああああ!」

「こんばんはか。君のリアクションはいつも最高だね」

明は真っ赤な顔で胸と股を隠すと、怒った。

「エスパーの域を超えてるわよ。あんた宇宙人か!」

「そんなことより、明ちゃんにいいものを見せてあげよう」

鏡は田口の顔から作業室のような場所に変わった。

「え?」

よく見ると、作業台に寝かされているのは、茉優ではないか。

「茉優!」明は目を丸くして叫んだ。

猿轡を咬まされている茉優は、全裸のまま手足を大の字に拘束されている。

そして巨大な電気ノコギリが高速回転を始めると、茉優の下の台が動き、彼女の無防備の股が刃に近づいて行く。

「んんん、んんん、んんん!」

泣き顔で首を左右に振り、慌てふためてく茉優の姿を見て、明は懇願した。

「田口さんやめて、この子はいい子なの、あたしの親友なの、許してください」

「この子は悪い子だよ。だから素っ裸のまま真っ二つにしてあげる」

「やめて、命までは取らないでお願いですから」

「んんんんん!」

股が刃の3センチ手前まで来て、茉優は泣きながら激しくもがいた。

「んんんんん、んんんんん、んんんんん!」

「田口さんやめて、何でも言うこと聞くから!」

「本当、明ちゃん」

「本当です!」

電気ノコギリと茉優の両方が止まった。

茉優はかわいそうに両目から涙を流し、息を乱している。

「ではでは明ちゃん。僕の指定する場所へ来なさい」

「はい、行きます。どこへ行けばいいですか」

「何て素直な子だ君は」田口はふざけてポーズを取る。「罪悪感90%!」

とにかくこの男を刺激してはいけない。

まさか本当に電気ノコギリで裸のまま真っ二つなんて、そんな残酷なことはしないと思うが、何をするかわからない危険な男であることは確かだ。

田口は明に場所を伝えると、茉優の猿轡を取る。

「なかなか迫真の演技だったよ。女優になれるね」

「・・・・・・」茉優は泣きそうな顔だ。

「あれれ、演技じゃなかったの。ハハハ、怖かった?」

「怖かった、もうやめて」

「かわゆい!」

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