《MUMEI》
尊side
それにしても、彼女と付き合えて本当によかった。
彼女…琴美さんを知ったのは二年ほど前。
琴美さんが中学二年、私が高校一年の時。
一目惚れだった…。
それから琴美さんの学校を特定し、琴美さんの家も特定、家族構成も…。
琴美さんを傷付ける者は…排除もしてきた。彼等は自害したということになっているが、実際は私が殺した。
傷付ける者の他に、目障りな者も…。
自分の周りから人がどんどん消えていく恐怖、次は自分ではないかという恐怖に怯えた琴美さんは…一時期不登校になってしまいましたね。
自分の部屋で小さく震える琴美さんは、小動物のようでとても可愛らしかった…。

「ん?…おや、琴美さんから…」

琴美さんから電話がかかってきたので、ワンコールで出ると少し驚いた声を上げる琴美さん。

「どうしました?」
『あ、えと、その…い、いきなり電話してすみません、尊先輩…』

声が聞きたくて。
と小声で話す琴美さん。
ああ、なんて可愛らしいのでしょう…。

「ふふ、良いんですよ。私も声が聞きたかったところです」
『そうだったんですか…えへへ、よかったぁ…』

……全く…あなたはどれほど私を虜にすれば気が済むんですか…

『…あの、尊先輩…その…いきなりなんですが…』
「はい。どうしました?」
『……先輩は、どこにも…行きませんよね…?オレを置いていったり、しませんよね…』

やはりまだ引きずっていたんですね。
私がどこかへ?行くわけないじゃないですか。
ずっと、ずっと…死ぬまで、いえ死んだ後も…愛し続けます。

「大丈夫ですよ…ずっと一緒にいます」
『!…ありがとうございますっ…』

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