《MUMEI》
旅立つ
そしてその翌朝、佐山は家を出ていった。
この日は駅まで家族全員で佐山を送る事になった。
ちゃんとこの日は聖羅もいた。
駅へ着くとまだ新幹線は来ていなかった。少し時間があったので家族で話をしていた。
母が「暁彦、昨日も言ったけどね、体だけは気をつけるのよ。それからお友達とも仲良くするのよ。さぼっちゃダメよ。」と優しさあふれる声で佐山に言った。
「わかってるよ母さん。小学生じゃないんだから。」
「暁彦君、休みには必ず帰って来るんだぞ。電話もまめにいれてくれよ。」と父がいった。「うん。わかったよ父さん。」心配する両親。
しかし聖羅だけは、何も言わないで無言で立っていた。
父が「聖羅も暁彦君に何か言いなさい。君の帰りが遅いのをずっと暁彦君は心配していたんだぞ。」と父親に言われると、やっと聖羅が口を開いた。
「お兄ちゃん、元気でね。」と少し棒読みだかちゃんといった。
佐山が「ああ…。聖羅も元気でな。」といった。昨日とはまるで別人のようにそっけない。佐山。そうこうしている内に新幹線がやって来た。ついにお別れの時だ。そうして新幹線に乗り、聖羅と佐山は別れた。

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