《MUMEI》
5
千香は目を覚ました。

「あっ!」

何と素っ裸にされて、便器にすわらされている。両手両足はキッチリ縛られていて、完全に無抵抗だ。この悪趣味な仕打ちに、千香は怖い目で目の前でほくそ笑んでいる嶋田刃条と弓矢孝之を睨みつけた。

「お目覚めかな、お姫様」嶋田が笑う。

「・・・・・・」

鋭い目で睨む千香に、弓矢が言う。

「さすがは女刑事だ。普通の女の子なら、全裸で無抵抗にされたら、泣きながら哀願するけどな。お願いですから酷いことはしないでって」

「死刑になりたくなかったら、さっさと外しなさい」

「いいね、いいね」弓矢は喜んだ。「きょうは楽しめそうだ」

「この子なら、いろいろな拷問方法を試せる。いい研究材料が舞い込んで来たな」嶋田は恐ろしいことを平気な顔で言う。「しかもときびりの美人だ。美人でかわいい。美しきヒロインが悲鳴を上げる姿を見れるとは、最高の興奮を満喫できるかもしれない」

「変態か!」千香が怒鳴る。

「千香」

「呼び捨てにするな青二才」千香が弓矢孝之にまくし立てる。「中身が空っぽのくせに自信満々で、大嫌いなタイプね。さぞかしモテないでしょう」

「千香。あまり調子に乗ると哀願しても許してあげないぞ」

「誰が哀願などするか」

「千香君」嶋田が真顔で脅す。「君のような強気な女の子が、拷問に耐えきれずに屈服して、泣きながら懇願する。Sにとってはこの変化がたまらないんだよ」

「あんたたち、警察を舐め過ぎてるわよ」

「まあ、聞きなさい。ところでなぜ、便器にすわってると思う?」

「どうせ肉便とか、下劣なこと言うんでしょ」

「ハハハ。君みたいな可憐な美女に対して、そんな失礼なことは言わないよ。弓矢。説明してあげなさい」

「千香」弓矢は得意満面で便器の近くに来る。「千香のお尻をウォシュレットで責めてアンアン言わせようと思って」

「バカバカしい」

「そうだね」嶋田が穏やかに話す。「ただのウォシュレットでお尻を責められたくらいじゃ、誇り高き刑事がアンアン言うことはないね。でもこの便器は、拷問用に改良してあるんだよ」

千香は緊張の面持ちになり、唇を噛んだ。

「何しろ、お湯が45度に設定してあるからね」

「え?」

千香が初めて弱気な焦り顔になる。弓矢はその表情を見逃さなかった。

「さあ、アンアン言わせてやるぞ」

弓矢がスイッチを押そうとする。千香は激しくもがいた。

「やめなさいよ、卑怯よ」

「卑怯だよ」と無情にもスイッチオン。

千香のお尻に熱いお湯が直撃する。

「あああ・・・アチ、アチチチチチチ」

必死にお尻を動かし、お湯の直撃を避けようとするが、手足を縛られて身動きができない。

「アチチチチッチイ、アチチチチチチチチチ」

早くも弱気な泣き顔になり、助けを求めるように嶋田の顔を見つめる千香がかわいい。全裸美女が僅かに動かせる手首や足首をひたすら動かしている様に、男たちは興奮した。

「くううううう・・・」

「千香君。もしかして降参か?」

「ううううう・・・」千香は真っ赤な泣き顔で嶋田を見ている。

「ただで許してあげるわけにはいかないよ。許してほしかったらやめてと言いなさい」

熱くて耐えられない。千香は暴れながら手足をほどこうとするが、無駄な抵抗だ。あそこまで啖呵を切ったら降参などできない。

「くううううう・・・くううううう・・・」

「降参しなさい。それが女の子の特権なんだから」

(無念・・・)

「やめて」

「やめないよ」弓矢が意地悪する。

「やめてください」

「降参か?」

「・・・降参」

嶋田の合図で弓矢がスイッチをオフにする。

「はあ、はあ、はあ・・・」

(悔しい・・・悔しい)

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