《MUMEI》
3
ついに浣腸されてしまった。

「ほどいで、ほどいでください!」

「さあ、千香」弓矢は楽しそうだ。「男たちが見ている目の前で盛大にどうぞだ」

「お願いします、手足をほどいてください」

刑事としての誇りも、人間としての尊厳も、踏み躙る行為だということをわかっているのだろうか。わかっていない様子だ。これがどれほど女にとって恥辱か。

「お願いほどいて」

「ほどくわけないじゃん」

「許して!」

「かわいい!」

弓矢は、泣き顔の千香に見とれながら、お尻を撫でる。

「千香。俺のこと好き?」

「好きです」

即答する千香に、弓矢は笑った。

「無理やり言わせちゃった?」

「お願いです、手足をほどいてください」

嶋田の合図を受け、弓矢は言った。

「千香。ほどいてほしい?」

「ほどいてください」

「よーし、じゃあ武人の情けだ」

千香は手足をほどかれた。彼女はすぐに立ち上がり、弓矢の顔を見つめる。

「この子をトイレに案内してやりな」

「はい」

千香は無事にトイレに駆け込んだ。犬と浣腸。二つとも許してくれた。千香は複雑な気持ちだった。敵の、犯人のお情けに救われた。刑事失格かもしれないが、この二つは最大の恥辱だけに、許してくれたのは正直に嬉しかった。千香は意気消沈した。



彼女がトイレから出てくると、今度はバスルームに案内された。

「シャワーを浴びな」男が無表情で言う。

「はい」

千香はシャワーを浴びた。まだ拷問は続くのだろうか。本当に心が折れそうだった。

バスルームから出ると、見張りの男がタオルを差し出す。

「ありがとうございます」

怖いから丁重にお礼を言うと、千香は体を拭いた。今度は白いバスローブを渡される。

「マッパじゃ落ち着かないだろう。これを着な」

「ありがとうございます」

素直に従う千香がかわいい。男は胸の鼓動が高鳴った。美人でかわいい女刑事が目の前で全裸なのだ。

「休憩だ。食事をする。暴れんなよ」

「まさか、そんなことしません」

千香は男に案内され、食堂に連れて行かれた。この拷問研究所は、嶋田が経営している店と、どれくらい離れているのか検討もつかない。

そして広い建物だ。部屋数が多く、拷問部屋も二つや三つではない。

長いテーブルにカレーライスが運ばれてくる。千香は、嶋田と弓矢の近くにすわらされた。

「千香。今さら眠り薬入れる必要がないことくらいわかるだろ?」

「はい」

「食べな」

「いただきます」

千香はカレーライスを食べながら、頭の中を急回転させた。見張りがいるかもしれないが、食堂にいる男は嶋田と弓矢を入れて12人。多い。一人でこの人数を相手にするのは無謀だ。

もしも自分から暴れて組み伏せられてしまったら、女はアウトだ。今度こそ犬に犯されてしまうだろう。千香は黙々とカレーライスを食べた。

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