《MUMEI》
4
「千香君」

「はい」

「君は、水泳は得意か?」

「いえ。得意ではありません」

今度は弓矢が聞く。

「全く泳げないわけではないよな?」

「はい」

カレーライスを食べ終わり、アイスウーロン茶を飲みほす。千香は真顔で言った。

「ご馳走様でした」

「千香。千香の泳ぎが見たいな」

「そういう機会がありましたら」

「チゲーよ、今からプールに行くんだよ」

「え?」

嶋田と弓矢をはじめ、男たちがゾロゾロ歩く。千香はバスローブを奪われ、素っ裸のまま連れて行かれた。女性に対して酷い仕打ちだ。これもわざとだろう。

プールがあるとは彼女も驚いた。千香は水着を渡された。純白のビキニだ。仕方なく身につけて、プールの前まで歩いた。

「え?」

プールの中に何かいる。

「心配すんな、サメやシャチじゃねえよ、イルカだ」

「!」

イルカと聞いて千香は腰が引けた。

「イルカと戯れるだけだ」

「ヤです」

「じゃあ犬と遊ぶほうがいいか?」

「待ってください」

千香が躊躇していると、弓矢は思いきり彼女の背中を押した。

「きゃあああああ!」

ドボーンと落ちてしまった。早速イルカが来る。プールは2メートルの深さなので足がつかない。千香は何とか浮くが、イルカが下から突き上げるように彼女の股を狙う。

「あああああ、ちょっと、やめて」

千香は泳ぎながらイルカから逃げる。しかし水の中ではイルカから逃げきれない。イルカは千香の股をツンツン突く。

「やめて、お願い、やめさせて」

しかし誰も止めようとしない。セクシーな純白のビキニ姿の女刑事が、イルカに大切なところを責められて困り果てている。男たちは興奮しながら千香を見ていた。

「やめて、やめ・・・うぐぐぐぐぐ・・・」

油断していると口にプールの水が入る。苦しい。千香は泳ぎながら回り込もうとするが、イルカに泳ぎで勝てるわけがない。

「お願い、やめて、やめさせて」

「千香はイルカにもモテるのか、ハッハッハ!」

悔しい。悔しいけど嶋田や弓矢に許してもらうしかない。

「弓矢さん、お願い許して」

「お、名前で呼ばれるのは嬉しいな。でもできれば下の名前で呼ばれたいな」

「孝之さん、お願いだから許して・・・あああああん!」

イルカに股を直撃され、千香は顔をしかめた。こんなことされても痛いだけなのに、悪趣味にもほどがある。

「孝之さん助けて!」

「おお、いいね、いいね、もっと呼んで」

(変態!)

そう罵倒したかったが、プールの中では強気に出れない。

「孝之さん助けて!」

「よーし、一旦許してあげよう」

弓矢がそう言うと、二人の男がプールに飛び込み、イルカを千香から離した。

「ふう、ふう・・・」

千香はプールから上がろうと、平泳ぎで端まで行った。ところが、男たちが数人がかりで千香の両手両足を押さえつける。

「え、待って、何をする気?」

まさか。そのまさかだ。プールの端にも手枷足枷がついている。千香をそこに磔にした。

「やめて!」

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