《MUMEI》
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「ちょっといいですか?」

「何だ?」

「ここの建物は会社ですか?」

「そんなことを聞いてどうする?」

三上瑠璃子は、名刺を出して渡した。

「週刊ネツゾーの者です。取材させてください」

「取材? 何の取材だ」

「責任者の方に合わせてくださいよう」

つぶらな瞳で見つめられて、男はヨコシマな妄想を抱いた。この記者を監禁したら、素っ裸にひん剥いてエッチな意地悪ができるかもしれない。

長い黒髪がよく似合う美形。スリムでセクシーなボディは、スーツを着ていても隠せない。裸にしたい衝動を抑えることができない。

「よし、責任者を呼ぶから待ってろ」

「ありがとうございます」

白い歯も美しい。キュートなスマイルに男のもともと低い理性は星の彼方まで飛んでいった。

見張りの男に呼ばれて弓矢孝之が来た。

「私が責任者ですが、取材ですか?」

「はい」

「さすがは週刊ネツゾー。情報が早い」

「え?」瑠璃子は小首をかしげる。

「お宅のデスクにはもうバレているのかもしれないが、ここはUFO研究所ですよ」

突拍子もない答えに、瑠璃子は笑顔のまま硬直したが、演技を続けた。

「じゃあ、建物の中に入るわけにはいかないですかね。写真は撮りませんから」

「本当は断るけど、君みたいなとびきりにかわいい子には、手柄をあげたくなるね」

「またまた、お上手ですね」

「スクープ取ったら君の手柄になるんだよな?」

「え、まあ、はい」

「よし。いいよ、どうぞ中に入りな」

「ありがとうございます」

瑠璃子は警戒しながら中に入った。弓矢は笑顔で彼女を案内する。

「君はUFOは信じる?」

「いやあ、自分の目で見たことがないので。でも、映像が世界各地にありますよね」

弓矢と瑠璃子は廊下を歩きながら話した。

「エイリアンにさらわれたらどうする?」

「死ぬほど怖いですよ」

「君みたいなかわいい子は、間違いなく素っ裸にされて手足を縛られて、エッチな拷問をされるだろうな」

「えええ。宇宙人ってそんな悪い人なんですか?」

「さあ」

部屋に入った。瑠璃子は部屋の中を見回す。殺風景な広い部屋だ。

「ここは、何をする部屋なんですか・・・うぐぐぐぐっぐ」

背後からハンカチを鼻と口に当てられる。不意打ちだった。瑠璃子は必死に抵抗しようとするが、数人の男に両腕を押さえつけられてはどうにもならない。

ガクッとうな垂れた瑠璃子を、ゆっくり床に寝かせた。

「へへへ、千香に負けないほどのかわいい子じゃねえか」

弓矢は早速、嶋田に連絡した。

「ボス。女スパイが舞い込んで来ましたよ」

『やはり来たか。警察だろうな』

「たぶん」

『よし、私が行くまで何もするな』

「素っ裸にして手足を縛るまではいいですか?」

『・・・いいだろう。その代わりまだ何もするな』

「わかりました」

瑠璃子も敵の手に落ちたか。大ピンチだ。

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