《MUMEI》
ハードリョナ 1
瑠璃子もプールに連れて行かれた。素っ裸のまま裸足で長い廊下を歩かされる。これも屈辱的な扱いだ。階段を上がり、屋上に出ると、そこはプールだった。

「瑠璃子は水泳は得意か?」弓矢孝之が危ない笑顔で聞く。

「・・・普通だと思います」

「生意気な態度なんか取ったら泣くまでいじめるぞ」

「何で、あたし、生意気な態度なんか取ってます?」

慌てて弱気丸出しの顔をする瑠璃子がかわいい。弓矢は痺れた。余計に意地悪して困らせたい衝動にもかられるが、あまり酷いことは勘弁してあげようという慈悲心にも似た感情が湧く。

「おまえは本当にいい子だ。いい子は好きだぞ」

「・・・・・・」瑠璃子は口を真一文字にしてしおらしくしている。

「これを着な」

弓矢はピンクのビキニを渡した。嶋田刃条や子分たちも見ている目の前で水着を身につける。瑠璃子は顔を紅潮させ、弓矢に聞いた。

「あたしは何をすればいいんですか?」

「ヒュー。似合うじゃねえか水着。かわいいな。よし、プールでの瑠璃子の泳ぎが見たいな」

「泳げばいいんですか?」

「そうだ。クロールでもバタフライでも何でもいいぜ」

瑠璃子はすました顔でプールサイドに立った。そこでぎょっとした。プールの底にワニが一匹いるではないか。

「ヤダ、許して」

「さようなら!」と弓矢は笑いながら瑠璃子の背中を両手で押す。

「きゃあああああ!」

ドボーンとプールの中に落ちてしまった。彼女はワニを見ることもなく、死に物狂いでクロールして泳ぎ切り、飛ぶようにプールサイドに上がった。

「はあ、はあ、はあ・・・やめて、命までは取らないでお願い」

「甘いんだよ瑠璃子は」

男たちが面白がるように瑠璃子を捕まえると、両肩と両脚を持つ。

「やめて、やめて、やめて」

必死に哀願する瑠璃子を左右に振りながら、思いきりプールに投げ込んだ。

「きゃあああああ!」

ドボーンと落ちる。瑠璃子は顔面蒼白になりながらクロールで端まで泳ぎ、また飛び乗る感じでプールサイドに上がる。

「テメー」弓矢が笑う。「スゲー速さだなあ。水泳が普通なんてよくも嘘をついたな」

「待ってください弓矢さん、ワニだけは勘弁してください、一生のお願いです」

「ワニは嫌いか?」

「怖いです。洒落にならないからやめて」

「ダメだ。瑠璃子みたいな美人刑事の困り果てる姿が見てみたい」

瑠璃子は心臓が止まりそうなほど胸がドキドキしていた。ワニに捕まったら食いちぎられるのに、平気なのか。そこまで鬼畜なのか。嶋田は無表情のまま黙って見ているだけだ。

「お願い許して」

かわいく両手を合わせる水着姿の瑠璃子がそそる。弓矢たちは強引に瑠璃子をうつ伏せに寝かせると、両手首を後ろ手にして押さえつけ、手錠をかけた。

「あああああ!」

「両脚も縛っちゃえ!」

「やめて!」

両手両足を拘束されたら泳げない。プールは2メートルの深さだ。確実にワニの餌食にされる。瑠璃子は激しく暴れながら懇願を繰り返すが、両足首も縛り、持ち上げられた。

「やめて、許して、ダメ、投げちゃダメ、待って、待って、待ってください!」

待ってくれない。思いきりプールの中央まで放り投げられてしまった。

「きゃあああああ!」

ドボーン! 今度こそ万事休すか。しかし諦めきれない。こんなところで死にたくない。瑠璃子は必死に両脚で水を蹴り、浮きながら叫んだ。

「助けて、助けて!」

「じゃあ、俺の花嫁になるか?」弓矢が笑う。

「なります、なります!」

「ハハハ。花嫁をワニに食われるわけにはいかないな」

何を悠長なことを言っているのか。瑠璃子は恐ろしくて一度もワニを見られない。そこへ二人の男がプールに入り、ゆっくり瑠璃子を助けた。

「え?」

瑠璃子はプールサイドに上げられ、仰向けに寝かされた。手足を縛られた水着姿の瑠璃子。たまらなくセクシーで思わずこのまま犯したくなる。

「はあ、はあ、はあ・・・」

「瑠璃子。死んだかと思ったか?」

「はあ、はあ、はあ・・・怖かった、もうダメかと思った」かわいそうに瑠璃子は泣きそうだ。

「瑠璃子」弓矢は彼女のおなかに手を置くと、言った。「いいこと教えてあげようか」

「え?」

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