《MUMEI》 7コングが低く構える。常に笑顔だ。千香の呼吸が乱れている。コングが高速タックル。迎撃の膝蹴りが間に合わない。倒された。コングが上に乗る。 「あああ!」 185キロに乗られたらきつい。跳ね除けられない。コングは千香の両腕をつかみ、床に押さえつける。 「ぐふふふ。千香姫。これってあと一手で詰みじゃない?」 千香は答えずに何とか脱出しようともがく。 「降参したらトドメは刺さないよん。降参?」 「黙れ!」 「あ、そう、ヒップドロップ!」 「げぼ・・・」 まさかの体重を考えていない攻撃。おなかにコングの巨大なヒップが落ち、千香は両手でおなかを押さえ、両足をバタバタさせながらのたうち回る。 「さあ、ヒロピン祭りの始まり始まり!」 コングは容赦なく千香の両脚を取ると、強引に反転。 「あああああ!」 千香は粘ったが力が違い過ぎる。必殺の逆エビ固めが決まってしまった。 「ぐはぐはぎひひいいい! 泣けええええええええええ!」 「あああああ! あああああ!」 千香は顔面蒼白になり、叫んだ。水着姿の千香が逆エビ反りにされ、絶体絶命の大ピンチ。リョナマニアの弓矢孝之は興奮した。 「あああああ・・・くううううう」 「降参?」 「ううう・・・」 千香は泣き顔で何もできない。勝負あったか。 「降参なしルールって言ったけど、僕の別名は心優しき戦士。降参ってかわいく口にしたら許してあげるよん。降参?」 「お・・・折れ!」 「折れ?」 「折れえええええ!」 死んでも降参できない千香は、そのセリフしか思いつかなかった。 「折れえええええ!」 「千香姫のような可憐な女子の背骨を折れるわけないで生姜焼き」 コングは技を解いた。弓矢が怒る。 「何やってんだコング!」 「あ、せ、ら、な、い」 ここはコングに任せたほうがいいか。弓矢はそれ以上口を挟まなかった。敵の情けで救われて、千香は複雑な心境だ。彼女は息を乱しながら起き上がると、両拳を構える。 「そう、それでいいの。将棋にも待ったがあるでしょう。この体重差だから少しくらいハンデをあげないとフェアじゃないからねん」 千香は迷わず攻撃する。右ジャブから左ストレート、右フックを屈んで交わすコングが、彼女の脚にラリアット。必殺技「マッケンロー!」だ。 「あああああ!」 千香は卒倒した。ローキックを決められたように痛い。コングが素早く上に乗る。 「さあ、泣きなーさーいー」 いきなり歌うと、岩のような両拳が雨のように顔面に降って来る。 「ボーカボーカボーカ!」 「あああああ! あああああ!」 顔に当たる。痛い。本当に容赦ない。 「ボーカーボーカボーカ!」 「あああああ! あああああ!」 顔を庇うとボディに来る。ボディをガードすると顔に来る。このままではKOされる。千香は思わずうつ伏せになった。 「あれれ、何やってるの。それじゃあ後頭部をボカボカされて詰みだよん」 千香は両手で後頭部をカバーする。コングはその両腕をつかみ、自分の両膝でキッチリ固定すると、千香の口をグローブのような両手でつかみ、思いきり後ろに反る! 「んんんんん!」 必殺キャメルクラッチが完璧に決まってしまった。 「んんんんん! んんんんん!」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |