《MUMEI》

絢斗と別れて家に帰り、玄関の扉を開けると…何故か巴さんがいた。
なんで巴さんがここにいんの…
ここはオレの家だし、彼氏の巴さんにだって合鍵だって渡していない。合鍵は誰にも渡さない主義だし。
なのになんで…

「と、巴…さん?」
「ふふ、お帰りなさい…琴美。遅かったですね…五時間もずーっとここで待ってたんですよ…?」
「五っ…!?」

いつもの、優しい笑顔を浮かべながら話す巴さん。
怖くなって震える足を無理矢理動かして外に出ようとした。しかし、巴さんに腕を捕まれ扉に押し付けられる。
恐る恐る顔をあげると、虚ろな瞳がオレを捉える。
嫌だ、怖い…
巴さんが、怖い…

「琴美…あの男は誰ですか?」
「え…」
「ほら、絢斗とかいうあの男…私というものがありながら…」

ギリッとオレの手首を握る手の力が強くなった。
痛くて顔を歪ませると巴さんは愛しそうに目を細める。

「酷いですよね…貴女は。私に隠れてこそこそと…」
「は、っ…? 知らない、知りません…」

咄嗟に嘘をつく。
その瞬間巴さんの目付きが変わった。

「ねぇ、どうしてそんな嘘をつくんです? 答えてください…」
「知りません…」
「……もういいです。知ってますから…あの男と何をしていたのか」

そう言うと巴さんはオレのてを強引に引いて二階に上がりオレの部屋の前に立つ。
嫌な予感がしたオレは必死に抵抗した。
しかし男の人の…しかも年上の男の人の力になんて勝てるはずもなくて。
部屋に入るなり鍵をかけた巴さんは乱暴にオレをベッドに押し倒した。

「まず、あの男とキスしましたよね。私としたことのない…こんなキスを………ぁ、ん…」
「ん…! む、ぅ、んんっ…ふぁ…!」

強引に口付けると舌を捩じ込まれ、舌が絡まり合う。
グチュッ、グチュという水音が鳴り響く。
抵抗しようとすればするほど逃げ場を無くされ、キスも激しくなる。

「ん…んっ、ふ…はっ……気持ち良いですか? 気持ち良いですよね…私は気持ち良いですよ……ん、っ…」
「ん、ふぁ……ぁふ、んっ…」

体が熱い、力が、入らない。
こんな無理矢理されているのに、気持ちよくなってしまうなんて。
チュッというリップ音と共に唇が離される。
巴さんの唇はいやらしく唾液にまみれていた。恍惚の表情で唇を舐めた。

「はぁっ…はぁ、っ…ふ、ふふっ…ずっとこうしたかった……。でも、あの男とはこれ以上の事をしたんですよね…貴女はもう処女じゃない…」

冷たい目をしている巴さん。
ぞくりと悪寒が走る。その瞬間巴さんがハサミを手に取り、オレの服を乱暴に切り裂き始めた。

「ひぃ…!?」
「許せないんですよ…あの男も、貴女も…ですから、お仕置きです」

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