《MUMEI》
第十話 前編
俺と焔はようやく、朝食にありつけた。

「は〜腹へった」
「同じく」
「なあ、焔?」
「何?」
「女だって事、いつかは話すんだろ?」
「うーん、どうしよっかな」
「どうしよっかなじゃなくてだな、いつかはバレるんだから」
「そういうものかな?」
「そういうものだな」
「へぇ〜」
「感心してる場合じゃないぞ」
「痛ッ!ちょっと、わた――俺の頭をチョップするな」
「俺の前では"私"でいいぞ」
「そういう訳には」
「疲れるだろ?」
「一理ある」

焔は深く頷くと、俺の提案通りにしたがった。

「しかし、あの焔さんが、まさかねぇ」
「うー、言うなぁ」
「口に出さずにはいられない」
「はあ」
「そういえば、朝、俺に何のようだったんだ?ヤンデレみたいだったけど」
「私がヤンデレ?」
「おう。だって扉を開けたら焔が顔を赤く染めて俺を見たじゃん?」
「しかも、扉を閉めたら蹴り破るとか、言い出すし」
「その上、セバスを気絶させ、顔を出した俺に顔を赤く染めながら歓喜の顔で、抱きつこうとしたじゃん」
「う・・・・・」
「俺には同性愛なんて言葉はありません。俺は女性が好きだ。愛しては・・・分からん」
「マコト、普通にキモいよ」
「shock」
「普通だよ、この反応」
「知ってるわ!そこまで人間を辞めてない!」
「じゃあ、さっきのセリフはもう言わないで」
「分かった。つか、言わないわ!」
「じゃあ、なんでさっき言ったのさ?」
「ノリ」
「パードゥン?」
「ノリ」
「ノリでさっきのセリフを言ったのか!?」
「うん」
「はあ、全く」
「取り敢えず、あのセリフはもう吐かん」
「そうして」

食堂に向かう通路で立ち話をしてしまった俺達は、急いで食堂に向かい、朝食を食べ、訓練に向かった

「今日の訓練は・・・・・」

いつも通り剣を振り、何故か、兵士に剣術を教える側にまわったりと、平和な日々が続いていった。
そして一週間がたったある日、俺達はダンジョンに向かうことになった。

【朝】
朝の自主練を終え、朝風呂に入り、朝食をとる。
朝食中、

「今日はついにダンジョンだぁー!」
「異世界ならではだね」

と皆のテンションが上がっていた
朝食をとり終わったあと、戦闘服に着替え、訓練所に集まった。

「これから、ダンジョンに向かう。必要な武器や食糧などを今から配布する。各自、行き渡るように荷物を受けとるように」

と騎士団長さんが言うと、兵士達が皆に荷物を配布し始めた。
荷物の中には、乾パンもどき、水、剣など入っていた。分野によって武器は違うようだ。剣術を学んだ者は鉄剣を。魔法を学んだ者はクリスタルのついた木製の杖を。
皆、それぞれ、これから行く、ダンジョンに胸を踊らされているようだ

「ではダンジョンに向かう。皆のもの、俺についてこい」

騎士団長を先頭にダンジョンへむかう。
移動中、野生のゴブリンや、スライムなどが襲ってきたが、周りにいる兵士達が魔物達を切り伏せていった。
ダンジョンには数十分で着いた。
入り口には多くの冒険者らしき戦士達がわんさかいた。出たり入ったり。怪我を負い、休んでいる冒険者もいた。
冒険者達は俺達を見つけると喧騒が止みザザーッと、音をたて、列が二つに裂けた。
しかし、団長は立ち止まり、何やら冒険者たちに説明を始めると安堵した顔を作り、二つに裂けた列が一つに戻り先のような喧騒が戻った

「これからいくつかのグループに分けたいと思う。呼ばれたものは前に出ろ。なお、非戦闘員は戦闘員の後ろに着いてダンジョンに潜ってもらう」

団長はそういって三十五人をグループに分けた

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