《MUMEI》 第十二話俺達はすぐに気を失っている鑑を連れて城に入る。 皆で喜んでいる場合じゃない。鑑の事が心配だ。急いで、治療班に鑑の事を任せた。 今日は巣穴での疲労もあり鑑の事もあり、今日は解散する事になった。鑑のお見舞いは明日になりそうだ。 俺達は部屋に戻る 俺は部屋のベッドに倒れこむ。数時間、ベッドの上で休んでいると、部屋の扉をノックするような音が鳴る 「ん?」 扉を開けると、石井が立っていた。 「どした?」 「ちょっとな」 「?」 何か伝えようとしている。数秒間沈黙が続く。石井は姿勢を整えると 「今日は鑑を助けてくれありがとう」 とお礼をしてきた。 「お、おう」 「雫は俺の幼馴染みなんだ」 「へ、へぇ〜」 「そんな雫も一応は女だ」 「うん、そうだね」 「幼馴染みを助けてくれてありがとう!」 「普通の事だと思うんだけど。後、助けたのは俺だけじゃなくてお前たちもだろ?」 「そ、そうだが、鑑の救出を率先してくれたからな。お前があの場であの判断をしなければ、鑑は今の状態よりも酷いことになっていた。本当にありがとう」 「ま、当然だろ。ゴブリンは油断していると殺される危険な生物だからな。女性を使って子供を産まさせるし」 「ああ、鑑に行為をしたあいつらを俺は許せない。遅れてしまった俺自身にも腹が立っている。だから俺はもう、これ以上こんな被害を出したくない」 「そうだな。それを考えると鑑さんを巣穴に置いていった田島達も許せないけどな」 「ああ、あいつらにはもう、殴っている。それで気がすんだ訳じゃないけど、それ以上したって何も変わらないからな」 「ああ」 「後、解毒薬をくれたことにも感謝している。解毒薬が無かったら、俺は多分、死んでいたと思う」 「ま、その辺は大いに感謝してくれ」 「ああ。今日はありがとう。また明日よろしくな」 「ああ」 二人で、会話をして別れる やっと、寝れると思ってベッドに向かおうと踏み出した瞬間、また、扉をノックするような音が鳴る 「はーい」 「伊神です」 「ほーい」 なんと、石井の次に伊神が来たのだ 「今日は鑑ちゃんを助けてくれてありがとう」 「いや、まあ、普通の事だと思うんだけど」 「ふふっ。木城くんって優しかったんだね」 「優しいかどうかは知らないけど、困っている人や生物を助けたりするのは当たり前だと思う。多分」 「勇者みたい」 「実際、この国の兵士は全員、勇者だよ」 「どういう事?」 「この国の兵士は自分の町や国を守ろうという勇気を持って、行動しているからね。それを考えると勇者って誰でもなれるんだよね」 「ふふっ。優しい上に面白いね木城くんって」 「ま、いつか、心変わりするかもな」 「そのままの木城くんの方がいいと思うな」 「そうか?」 「うん」 「ふーん」 「今日はありがとうね。助かったよ」 「おう」 「また、明日ね」 「おう、また明日」 伊神は帰っていった。 俺はやっと、ベッドでグッスリ眠ることができた。 前へ |次へ |
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