《MUMEI》
第十四話 前編
鑑は自室に引きこもっているらしく、伊神が鑑の部屋に案内してくれた。

「鑑、伊神です」
「・・・・・」
「入っていいかな?」
「・・・・・・うん」

扉越しに入室の許可をとる伊神。伊神は扉を開けると、そこには項垂れている鑑がいた。かなり、痩せ細っている。

「おはよう、鑑」
「・・・・・うん」
「体調はだ、大丈夫・・・?」
「うん」
「・・・・・・・」

沈黙。沈黙が続く。五分後。沈黙中。十分後、未だに沈黙中。
沈黙を破ったのは鑑だった。

「ごめんね、心配かけて」
「う、うん」
「後、助けてくれてありがとう」
「き、気にしなくていいよ」
「マコト君もありがとう」
「ん?何で俺も?」
「私の救出を真っ先に提案したのはマコト君って聞いたから」
「提案したわけではないが、まあ、気にするな。当然の事をしたまでだ」
「うん」
「後、ちゃんと食事はとれよ?あんなことがあった後に言うのは何だが、ちゃんと食事をとって健康でいないといけないからな?」
「うん、ありがとうね」
「それじゃ」

俺は石井達に断りをいれ、部屋に戻る。
ゴブリンの件があったんだから、田島達の行動も少しは変わるだろうな。変わらなかったらおかしいだろ。
ベッドに数時間の間、横たわっていると、扉をノックするような音が聞こえた。

「焔だ」
「あーー、はいはい」

扉を開けると私服姿の焔がいた。

「どうした?」
「暇だったんだ。部屋に入っても?」
「どうぞ」

俺は焔を招き入れた。ソファーに腰をかける俺達。
セバスが紅茶とクッキーを持ってきてくれた。セバスのクッキーは超美味しい。
セバスとメイドさんは俺達を部屋に残し去った。
セバスのいれた紅茶に癒される二人。

「「ふぁああ〜」」

あまりの美味しさに奇声をはっする。
二人仲良く食べては飲み、また食べては飲みを繰り返す。
それから数分がたった頃だろうか。城にトンデもない地震が起こったのは

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