《MUMEI》
第一石
俺はもともと地球という名の世界で人間として過ごしていた。しかし、死んだ。そう、死んだはずなのだ。

(なのに何だここ!!何処だよ!!しかも俺の体が可笑しいんですけど!)

石。そんな石にチョコンと小さい手足がついていた。
これからどうすればいいのか、自分はいったい何なのか。色々、疑問はあるが、とりあえず探索する。
探索している間に分かっていることを話そう。

まず一つ目、ここは地球ではない異世界だ。俺みたいな歩く石なんて生物、地球にはいない。空を見上げると炎を纏った鳥が羽ばたいていることから結論にいたった。

二つ目は今、俺がいる場所は「ナノ」という大陸らしい。旅人らしき、人が俺に話しかけ、言っていた。言語が何故か分かったが、口がついてないため、ジェスチャーを使って、旅人と会話した(?)

最後に三つ目、俺は精霊の下位互換みたいな生物らしい。あと、精霊術という魔法みたいのも使えることを初めて知った。物知りな旅人だ。
ま、色々あって、旅人と一緒に旅をしている。

『ねぇねぇ、旅人さん』
「ん?」

俺は『心話』という魔法(?)みたいなものを数日前に習得した。あらゆる生物の心に話しかけたい言葉を送ることで会話できるのだ。この『心話』のおかげでだいぶ会話が楽になった。後、体の形が丸み帯び、赤色いや紅色の石になった。旅人いわく、魔石になったらしい。

『この世界の種族について教えてよ』
「種族か。よし、いいだろう」

種族について教えてもらうことになった。
「この世界の名前から説明しよう。この世界の名前は《アーベル》。大長神、アーベルが創った世界らしい。次に種族についてだが、大まかに人間族、亜人族、魔族の三つだ。亜人族の中に獣人族や、魚人族、天人族など、がいるが、そこの説明は省かせてもらおうかね。人間族はアールっていう大陸に、亜人族は主にベーターっていう大陸に、魔族はルリオっていう大陸に住んで生活しているが、お互い仲が悪いから、戦争なんて日常茶判事さ」
『ふーん』
「お前は魔族だからな?」
『えっ!そうなの!』
「そりゃ、魔石なんだし」

少しガックシと落ち込む石。

「もうそろそろ、夜が近づいてきたな。今日はここで寝るか。石ころ、テントはるの手伝え」
『手なんかないけど?』
「精霊術があるだろうが」
『あー、はいはい』

精霊術(風)を巧みに使い、テントの手伝いに参加した。

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